3 不合格&リターンマッチへ

 こうして、勉強したようなしてないようなふわふわした感じで受験することになった。”なった”という言い方はおかしいが、現実はそうであった。

 平成14年2月24日(日)。朝から市バスとJRを乗り継いで岐阜県は多治見に向かう。多治見なんて最近来た記憶がない。
 で、試験会場は多治見工業高校でJRの多治見駅からは、ちと距離があるので、事前に調べておいたように東鉄バスに乗って会場近くまで行く。バスの車内はがらがらだった。
 バス停から会場の多治見工業高校までぞろぞろ高校生らしき若者がたくさん歩いている。どうやら彼らは乙種・危険物取扱者を受験するような雰囲気である。

 会場の多治見工業高校は、いわゆるどこにでもあるような少し古い高校だった。
 会場について、スリッパ持参ということだったので早速スリッパに履き替え教室を探す。
 その教室に入ってびっくり。多治見で甲種を受験するのはわずか10名程度であった。残りの何百人はすべて乙種(4類)の受験である。

 試験開始の10時を待つ。天気はいいが少し寒い日だった。
 試験監督官も厳しそうな人が2人前に立っている。マークシートの用紙が配られる。小さい!A4サイズの紙の3分の1くらいの大きさだ。問題数が全部で45問なので、確かにこの1枚で済むかもしれないが、危険物取扱者試験の最高峰の甲種の試験の割には解答用紙は貧弱だった(と思った)。受験料が5000円だからこんなもの?

 10時になり試験が始まる。
 いよいよだ。問題の持ち帰りが禁止であり、なおかつ、問題に対する解答の発表もないので何の問題が出たかすっかり忘れたが、問題を解いていて、自分が中心に使っていた問題集より細かいところから出題されているなと感じた。3科目とも確実に6割ずつなければいけないが、問題を解いていて確実に6割解けた実感はなかった。

 11時を過ぎると多くの人たちが退室する。乙種の受験生たちだ。さらに12時になると乙種の試験が終了し、甲種の受験者数名だけが部屋に残った。

 何度も問題を見て思い出そうとするが、自分の頭の中で整理したこと以外からの出題が多く、これ以上ここにいても時間の無駄なような気がした。

 危険物取扱者試験の”いやらしさ”(特徴ともいうべきか)のうちの一つに、「次の設問の中に正解はいくつあるか」がある。

 例えば5つの設問例中3つは合っていて、1つは間違っていることがわかっていても、残りの一つがどちらかわからないと正解が取れないというところにある。
 高圧ガスの試験であれば、選択肢の組合せからある程度は読めるのであるが、危険物はすべてわからないと設問の正解数がわからない。逆に言えば全くわからなくとも勘で数を当てることも可能であるともいえるが・・・。

 12時15分。こうして半ばあきらめで教室を出てきた。
 帰りの電車の中では、「うーん、あの程度の参考書じゃだめだなぁー。もう少し受験用にいいモノを買わないとまずかったなぁ」とひとりで反省モードに入った。まあいっかー!

 3月上旬、家に一通のハガキが届いた。
  「不合格」
 「まあ、半分わかっていたけど、高圧ガスの試験と違って年に何回もあるからまた受けに行けばいいや」とすぐに気持ちを切り替えて6月の受験体制に入ったのであった。