変わりダネ・その他
 
 この図書館で紹介する本で、どうしてもここで分類不能の本があります。これらを「変わりダネ・その他」と称して紹介することにしました。
限界ニュータウン
吉川祐介/太郎次郎社
1,800円+税
少し前の東京新聞でもこの本の中身について取り上げられていました。ニュータウンとして販売された分譲地ですが、売れ残り方も千差万別。買い手が付かずに放置されているものも相当残っているようです。これらのうち、比較的規模の大きな分譲住宅地を限界ニュータウン、小規模なものを限界分譲地のようにこの本の中では定義づけをしています。このような限界ニュータウンの活用方法などについて、この本の中で一定の提言があります。確かに上手に使えば、安い価格で土地を購入できるので、面白いとも思いました。
人口減少時代の都市
諸富徹/中央公論新社
800円+税
財源的に豊かでない地方自治体。その中で財源を如何に生み出して都市経営を行ってきた代表的な手法がこの本の中で紹介されています。
しかしながら時代が変わってきて同じ方法ではなかなか都市経営は上手に行きません。かつてはエネルギーを売る商売で都市の財源に充てていた都市もありましたが、これからは新しいモデルを探していかなければなりません。一部の地方都市の対応を参考に説明していますが、なかなか先が見えてこないと感じました。
転職学
中原淳/KADOKAWA
1,600円+税
いろんなものを学問に仕立てる「〜学」というものはいろいろ出版されていますが、「転職学」というのは珍しく本屋で目にとまりついつい買ってしまいました。私の場合、転職を二度ほどしていますが、はたして転職の方法としてよかったという点で気になりました。日本における転職の傾向、転職する場合の問題点などが整理されています。これからも転職の傾向が続くと思いますので、転職を検討している人は一度読む価値はあるかと思います。
名古屋地名の由来を歩く
谷川彰英/ベスト新書
838円+税
名古屋には変わった地名も多く、私自身、「不思議だなぁ」とか「何か由来があるのだろうな」と思っていたものの、特に調べることもしませんでしたが、この著者は私の代わりではないですが、コツコツ調べてこの本の中でまとめています。名古屋のみならず、周辺の市町村に関しても調べてあるのもいいですね。写真も採り入れ、読みやすい感じでまとめていると思います。
上級国民/下級国民
橘玲/小学館新書
820円+税
2019年4月の東京・池袋の横断歩道で87歳の男性群テンする車が暴走し31歳の母親と3歳の娘がはねられ死亡。この事件をめぐってネットで飛び交ったのが「上級国民」という言葉。上級国民、下級国民という定義があるわけではないのですが、この著書の中で正規/非正規、大卒/高卒、ホワイトカラー/ブルーカラーなど日本の社会を分断してきている原因をいろんな切り口で説明しています。
人口減少時代の土地問題
吉原祥子/中公新書
760円+税
土地に関しては、相続をするときになって初めてそのときの権利を意識することが多い。現在は人口減少に伴って空家が増え、その土地も含めて所有者がよくわからないものも多い。日本の場合は、所有者が代わっても、土地に関する登記は自由となっている。このことが、土地の所有者が誰かわからないという問題を複雑化している。この本では、日本の登記制度、課税制度も含めた土地利用に関する問題提起とその解決にかかる糸口も紹介している。
人口減少と社会保障
山崎史郎/中公新書
880円+税
2015年の国勢調査で、初めて日本は人口が減少している。人口の動向は社会保障を決定するための重要な要素。これまでの社会保障は人口増加を基本に考えていたが、これから当分の間は人口が減少していくことを前提に考える必要がある。医療、介護、年金、子育て、社会福祉などこれまでの経緯と今後の展望についてデータを用いて丁寧に説明している。今後の社会保障のあり方を知るためにはいい一冊かと思います。
岩盤規制
原 英史/新潮社
740円+税
日本の規制は事前規制型が未だに多く残っている。行政機関が、市中をコントロールできるという考え方が残っているからだ。しかしながら、デスクワークで、市中の動きをすべて読み切りコントロールできるほど役人は優秀ではない。経済産業省出身の著者が、規制のあり方について、事例をあげながらこの本において説明をしている。
日本経済こうすれば復興する!
竹中平蔵/アスコム
952円
2011年3月11日の東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方。早期に復興するにあたってもお金が必要であることは間違いないがその財源をどうすべきか。政府は増税で対応しようとしているが、経済が活発でない現在、増税はさらに経済を冷え込む結果となるというのが竹中氏の持論。これまで経済が冷え込んでいるときに増税してうまくいった国がないことからも増税は極力見送るべき。私もそう思います。まずは、支出の削減を!
増税のウソ
三橋貴明/青春出版社
762円
バブル経済崩壊以降の日本は長期のデフレに陥っている。さらに2011年3月の東日本大震災による大きなダメージ。震災からの復興に対する政府の対策も遅れっぱなしの印象がある。国債で資金調達をするか、復興税で資金調達をするのか、増え続ける社会保障費の調達など課題は多くあるものの、歴史を振り返るとデフレ時に増税を行ってうまくいった国は世界中に存在していないことを著者は強調している。このタイミングの増税は一見理にかなっているように見えるが、消費者心理の冷え込みによりさらに消費が冷え込むため結果的に税収は増えないという。
失敗の予防学
中尾政之/三笠書房
1,500円
「失敗」をテーマにしたものといえば、このサイトでわざわざコンテンツを設けている畑村洋太郎先生が有名ですが、この本は比較的オーソドックスな内容で繰り返される「失敗」について書かれています。事例を取り上げてはいますが、あくまでもオーソドックスに書かれています。
日本人が行けない「日本領土」
山本皓一/小学館
1,890円
2010年(平成22年)9月7日午前、中国漁船が日本の領海である沖縄県尖閣諸島付近で違法操業し、その後日本の海上保安庁の巡視船に衝突してきたことは、報道の通りであるが、日本にはこの尖閣諸島の他に日本の固有の領土であるにもかかわらず、そこに行くことができない領土がいくつか存在する。北方領土(北海道)や竹島(島根県)もその一つではあるが、そうなってしまった経緯については詳しくは知らなかった。この本の著者の本業は、カメラマンである。1990年の択捉島の取材から16年にわたり「日本の国境」を撮影取材してきたのであるが、著者が体験してきた「日本の国境」を再確認しようとして執筆したのがこの本である。北から南まで地図のみならず歴史も含め日本が領土として主張する理由を分かり易く説明している。ぜひ読んで欲しい一冊!
思考の整理学
外山滋比古/ちくま文庫
520円
本屋さんの店頭で赤帯に惹かれて買ってみました。この本の初版は1986年4月、私が購入したのが2010年7月(第70刷)。24年もの時間が経過していますが、まったく古さを感じさせない内容です。勉強に対する取り組みを「グライダーと飛行機」の違いに例えているほか、思考について「醗酵」「寝かせる」「三上・三中」などの展開は面白いですね。頭の中で考えの整理がうまくいかない方には、一読を勧めます。
保安事始、保安事始(第二話)、保安事始(第三話)
佐野和四郎/高圧ガス保安協会
私説のため販売していません
著者の佐野和四郎氏は、高圧ガス保安行政の先達であり、黎明期の頃について携わっていた関係上、法制化に至った経緯に非常に詳しい。
高圧ガス行政の「温故知新」には非常に有為な本であるが、残念ながら私説のために販売されているものではない。高圧ガス保安協会の図書室にはあるものの、持ち出し禁止。知人にお願いして貸していただいたものである。多くの人の目に触れる機会があればと思うが・・・。


伝える力
池上彰/PHPビジネス新書
800円+税
'94年から11年間NHK『週刊こどもニュース』でお父さん役をやったことで一躍有名になりましたね(ただし、週刊こどもニュースの視聴者の大半は皮肉にも大人だった)。
かれがNHKの報道記者時代に文章をまとめる力をいかにつけるかというノウハウが多く含まれています。少々話は長い池上さんですが、見習うべき所は多くあります。
天然ガス自動車プロジェクト
島田眸/そしえて
1,905円

次世代エネルギーとして最右翼なのがこの天然ガス。ガソリン車に替わるエネルギーとして位置づけられていますが普及はこれから。東海地方の都市ガス会社では大手の東邦ガスが天然ガス自動車の開発に国内で最初に苦労しながら取り組んだことが書かれています。 
 

※ なお、価格については、私の手持ちの書籍に書かれているものなので改訂されていることがあります。