第29回奥秩父三峰山マラソン大会 参戦記

西武秩父駅の外で主催者の用意したバスに乗り込む参加者たち(クリックすると拡大します)
 これまで埼玉県の大会に参加したのはわずかに1回。それも今から遡ること約18年前の平成2年。この時は仕事で東京に約一ヶ月研修に来ていた間に出場した大会で、知人の家が埼玉県坂戸市にあり、当時は泊めていただき参加したものです。

 埼玉県といえば、名古屋に住んでいる私にとっては東京都に隣接する東京のベッドタウン的なイメージがあるところでした。その程度の認識でエントリーを決定。どうせ公共交通機関で行くので・・・。
 しかし行ってみると遠かった。
 都内から埼玉県にはいるのはそれほど時間がかからなかったものの、目的の秩父までは池袋からも2時間。さらに大会会場まで主催者の用意したバスに揺られさらに50分。埼玉県って広いんですね。あらためて認識しました(今頃遅い!)。

 ところで今回参加した「奥秩父三峰山マラソン」ですが、参加者は500名程度の小規模な大会(小学生の部門やジョギングの部門がないとこのくらいの参加者数になるんですかね)。秩父市が主催しているいわゆる自治体主催のマラソン大会ですが、西武秩父駅から会場までバスを何台も用意するほか、4kmのゴールから閉会式の三峰山駐車場(標高約1,000m)まで選手の輸送のほか、閉会式会場からスタート地点や西武秩父駅までの輸送を全て10台ほどの大型バス、小型バスをチャーターして行われました。参加料が2,000円でこれだけのことができるのは、さすがに自治体が主催がするだけあってのこと。行政としても力を入れていることを感じました。

 東京からみても秘境のようなところで開催されるマラソン大会。ちょっと遠いですけど意外とアットホームな感じのオススメの大会ですよ。

 
●大会名 第29回奥秩父三峰山マラソン大会
●開催日 平成20年6月8日(日)
●コース
 /大会要項

 /プログラム
二瀬駐車場発〜雲取森林管理道入口着(埼玉県秩父市大滝) →詳細地図

大会要項

プログラム

コースマップ(大会要項から)

秩父湖ガイドブックからコースマップ作成
それぞれクリックすると拡大します
●天 候 くもり、19℃くらい
●参加賞 Tシャツ、タオル、ボールペン、大滝温泉割引券、豚汁(食券)、スポーツドリンク2本(ゴール後)、遠来賞(盾)
●結 果 14分39秒(4km) (40歳以上男子・第1位、総合第5位)
●表 彰 トロフィー、メダル、賞状
●過去の戦績 初出場
●交通手段等
【6月7日(土)/1日目】
徒歩 自宅 15:05 自由ヶ丘駅 15:15
地下鉄 自由ヶ丘 15:17 本山 15:19
本山 15:23 名古屋 15:38
新幹線 名古屋 15:57 東京 18:47
JR 東京 18:56 御茶ノ水 19:00
徒歩 御茶ノ水駅 19:00 ホテル 19:15
【6月8日(日)/2日目】
徒歩 ホテル 5:15 淡路町駅 5:23
地下鉄 淡路町 5:37 池袋 5:51
西武鉄道 西武池袋 6:01 飯能 7:00
飯能 7:22 西武秩父 8:11
主催者手配バス 西武秩父駅 8:23 会場 9:06
【10時00分スタート 第29回奥秩父三峰山マラソン大会 4kmの部】
主催者手配バス ゴール 10:50 閉会式場所 11:15
閉会式会場 12:50 西武秩父駅 14:02
西武鉄道 西武秩父 14:37 飯能 15:31
飯能 15:39 西武池袋 16:30
JR 池袋 東京
新幹線 東京 18:26 名古屋 21:16
JR 名古屋 21:22 大曽根 21:34
地下鉄 大曽根 21:43 自由ヶ丘 21:50
徒歩 自由ヶ丘駅 21:50 自宅 22:00
●費用
参加料 2,000円  
地下鉄 490円 (自由ヶ丘〜名古屋/大曽根〜自由ヶ丘)
地下鉄 190円 (淡路町〜池袋)
西武鉄道 1,500円 (西武池袋〜飯能/往復)
ツアー代金 21,700円 (JR新幹線名古屋・東京往復+1泊)
合 計 25,880円  
●種目及び参加者(申込人数、★は加藤が参加した部門)
距離   区 分 参加者 スタート時間
10km   大学招待 13名 10時00分
一般男子 161名
壮年(40歳以上)男子 110名
一般女子 40名
4km   一般男子 30名
壮年男子(40歳以上) 32名
  一般女子 42名
中学生男子 16名
中学生女子 1名
  合  計 445名  
●上位成績(10km、5kmの各部3位までの入賞者のみ)
【10km】
大学招待(表彰なし)
平井章宏   東松山市 大東文化大学 35’40”
土田 純   東松山市 大東文化大学 35’50”
安藤拓也   東松山市 大東文化大学 35’55”
 一般男子
吉川修平 16 松戸市 市立松戸高校 36’33”
小林義明 35 横瀬町 横瀬町陸上競技協会 37’55”
石川好昭 16 柏市 市立柏高校 38’13”
 壮年男子(40歳以上)
猪股 勇 45 甲斐市 山梨県民信用組合 41’41”
大森邦武 45 川越市 川越走友会 41’53”
石垣幸男 48 東松山市 ボッシュRC 44’18”
一般女子
韮澤亜衣 16 柏市 市立柏高校 45’24”
古谷悦美 15 柏市 市立柏高校 47’32”
山口ありさ 16 柏市 市立柏高校 48’27”
【4km】
一般男子
引間雅行 18 秩父市 秩父農工科学高等学校 14’10”
黒澤裕一 16 秩父市 秩父農工科学高等学校 14’22”
渡邉遼平 22 目黒区 ハートブレイク 14’22”
壮年男子(40歳以上)
加藤一郎 46 名古屋市 名古屋市役所走友会 14’39”
橘田重男 47 笛吹市 春日居小教RC 15’22”
桑原 寛 53 寄居町 寄居HIROクラブ 15’29”
一般女子
滝沢三喜 17 松戸市 市立松戸高校 15’13”
渡辺理奈 17 松戸市 市立松戸高校 15’40”
江川奈月 17 松戸市 市立松戸高校 15’50”
中学生男子
赤岩ナ太 13 秩父市 市立第二中学校 16’34”
畑中一刀 13 秩父市 光の村学園 16’35”
菊間勇宏 12 秩父市 光の村学園 19’08”
中学生女子
大沼 夢 15 秩父市 光の村学園 24’23”

秩父という街

秩父市は埼玉県の本当に西部に位置する街でした。群馬県、山梨県、長野県、はたまた東京都とも接していますね。
西武秩父駅からさらに会場の二瀬ダム(秩父湖)までさらに主催者のバスで45分ほどかかりました。山間の街ということは地図の色からわかりますね〜
(地図をクリックすると拡大します)
 秩父に行くには、東京都内では池袋から西武鉄道・池袋線に乗り、さらに飯能から方向を変えて終点の西武秩父に向かうのが一般的だろうと思う。行ってみればわかるが、名古屋に住んでいる私にとって、秩父がこれほど東京から離れている街だとは行ってみて初めて気がついた。
 翌週に行われた会議で都内に住む知人に「先日秩父に行ってきたんですけれど、遠いですね〜」というと「秩父!あそこは群馬とか山梨の県境だからね〜。そりゃあ東京からでも遠いですよ・・・。」と。
 なるほど、東京の人でもハイキングに行くのならともかく、そうでもなければちょっと敬遠するようなところだとは思わなかった。名古屋から岐阜(市)は近いものの、岐阜は岐阜でも岐阜県の神岡などはほぼ富山県に近い。こういう感覚なのだろうか。

 行き方もろくすっぽわかっていなかった私は、ネットの駅探の指示通り西武池袋発6時01分の飯能行き準急に乗る。日曜日の朝にもかかわらず電車の座席はほぼ埋まっている。名古屋界隈では見かけられない光景。こんな朝早くからみんなどこへ行く?

 飯能からはさらに西武秩父線に乗り換えて西武秩父に向かう。飯能を出てしばらくすると単線になり、秘境へ向かう鉄道の様相がにじみ出てきた。山間を走る飯田線の雰囲気と何ら変わりがない。

西武秩父駅から見た武甲山(1,304m)
 単線のため所々で列車交換をするが、反対側からやってくる列車には「特急ちちぶ」があった。「そうかー、池袋から特急ちちぶに乗れば朝ゆっくり寝られたのだ」と気がついたのはあとの祭り。
 こうして池袋から約2時間揺られて西武秩父に到着した。

 西武秩父線は、この先どんどん山奥に入っていくような感じだったので「西武秩父駅って、恐ろしい山奥の無人駅?駅前には商店の一つもないの?」と想像を巡らせていたが、終点の一つ前の横瀬あたりからは逆に開けてきたので、頭の中は「?。山奥に街があるの?」と非常に不思議な感じだった。

 秩父市は、人口約7万人弱の埼玉県の西部に位置する都市だ。
 秩父といえば思い出すのが「秩父セメント」。平成6年に小野田セメントが秩父セメントを合併し”秩父小野田セメント”に改称。さらに平成10年に日本セメントと合併し”太平洋セメント”となっている。
 秩父市の隣街の横瀬町には「宇部三菱セメント」の横瀬工場が見える。こちらは業界第2位の販売量のようであるが、この秩父界隈は武甲山を中心にセメントの原料である石灰の産出が豊富なのであろう。

奥秩父三峰山マラソン大会
 西武秩父駅から主催者の用意したバスに乗ること約45分。スタート場所の二瀬駐車場にやってきた。すでに直接ここまで自動車で来た人々も多くいるようで、日頃は静かであろう二瀬駐車場もまさにごった返すような人の集まりであった。

 二瀬ダムは、荒川の最上流に位置するダムで、昭和27年から建設が始まり昭和36年に完成している。二瀬ダムによりせき止められてできた人造湖が秩父湖である。

 今回のスタート場所はこの二瀬ダムの手前にある駐車場だ。海抜はすでに550m。4kmコースはここから60mほど昇るが、10kmコースはこの駐車場から500mほど登り、海抜1,044mまで上がることになる。
 平成14年の朝日新聞埼玉版の記事によると、大東文化大学の青葉昌幸部長いわく「箱根駅伝の山登りの適性を見るのには奥秩父三峰山マラソンが一番」とのこと。箱根駅伝の5区に比べると、距離はおよそ半分、標高差で約3分の2。コースも舗装路のヘアピンカーブが多く、「箱根の山登り」のミニチア版といえる。ここ7〜8年は新1年生の登竜門のようであるが、過去には4年生も走っているらしい。今年も大東文化大学から13名の選手が招待されている。

 また、旧大滝村が秩父市と合併するまでの平成16年の第25回大会までは4月開催であったが、平成17年の第26回大会から現在の6月開催になっている。平成15年の大会は4月にもかかわらず積雪があったため中止となっている。少人数の大会ではあるが、いろんな変遷があって面白い大会であると思う。

西武秩父駅。西武・秩父線の雰囲気から一転して街らしい駅でした。ハイキング等の起点駅のようです。

大会主催者の用意したバスが、西武秩父駅前に停まっていました。乗車し、しばらくすると出発しました。

バスの車窓からの風景

三峰山ロープウェイは平成19年12月に設備の老朽化のため廃止されたようです。ほんの半年ほど前でした。

車窓から左手に見えるのは「荒川」。東京までつながっています。

受付場所の二瀬駐車場。本当に山奥にやってきました。

西武秩父駅からピストン輸送したバスが何台も所狭しと停まっています。

スタート場所。ここから手前の方にやってきます。

スタートまではバタバタ
 会場に到着したのは9時過ぎ。スタートが10時ちょうどなので結構慌ただしい。
 受付をすませ、早速ナンバーカードをユニフォームにつける。更衣室らしきものも見あたらないので、他の人同様、歩道に荷物を置いてさっさと行う。今日は曇りであるからいいものの、雨が降ると雨宿りする場所がほとんど無いのが難点だ。

 また、駐車場のトイレで用を足そうと並んだが、結構な列だ。ざっと10人ほどはいる。参加者が約500人で仮設のトイレ無し。この人数を裁くのにはちょっと無理があると思っていたところ、主催者らしき人が「こちらにもトイレがありますよ〜!」の声。早速ついていく。休憩所の奥の方にトイレがあった。早速使わせてもらう。(たすかった〜!)

 わずかな時間を利用して、ウォーミングアップとコースの下見を行った。
 今回出場するのは4kmの部。主催者によると高低差が約60m。登りの練習をほとんどしていないので、こちらで十分。下見をした1kmくらいの区間は登りも緩く問題なし。ただし途中から勾配がきつくなることは間違いないだろう。

 9時40分には、バスに荷物を預けなければならないのでさっさと荷物をまとめバスに乗せる。荷物は、主催者が用意した透明な大きな袋にマジックで自分の「ナンバー」と「氏名」を記入するルールだ。
 スタート前には神主さんらしき人がやってきて、今日のレースの無事を祈祷している。富士登山駅伝でもあったが、まさに山岳信仰の象徴である。

 こうしてスタートまでの約1時間はあっという間に過ぎていった。

全員一斉スタート!
 この大会の面白いところの一つに全員一斉スタートがある。部門は10kmと4kmしかないのであるが、この両方ともが10時に一斉スタートする。全部門のスタートが同時で行われるというのは、恐らく全国的にも珍しいのではないだろうか。
 さて、そのスタート地点には500名弱の選手が一斉に集まる。前の方を陣取るのは、大東文化大学の学生をはじめ、千葉方面から遠征をしてきた松戸高校、柏高校の学生が多い。

 10時に一斉スタート!
 スタートして約100mで右折。そこにはトンネルがいきなり待ちかまえている。さらにトンネルの中で道路が二つに分かれている非常に珍しいコースだ。いきなりトンネルにはいると目が慣れていないせいで、足下がやや気になる。高校生たちは、そんなことお構いなしにガンガン走っていく。

 10kmの部はナンバーカードがグリーン、4kmの部はナンバーカードがオレンジ色だ。同時スタートにもかかわらず前方を走る選手は、グリーンのナンバーカードの選手が多い。
 自分の参加しているのは4kmの部。とりあえず、4kmの部門の選手を視野に入れながら走っていく。ダムの上を走りながら前方を確認するが、私と同じ年代の選手はとりあえず前方にいないようである。

 ダムを超えてからは右折していよいよ山道に入っていく。
 最初の1kmはほとんど起伏もなく3分20秒程度で通過していく。どこから登りに入るのであろうか。ちょっとドキドキする。
 2kmくらいまではやや登り気味になるが、この程度であれば特に山登りを得意とする選手の持ち場ではなく、一般のロード選手の持ち場の感じだ。

開会式の様子。こぢんまりとしていました。

スタートしてすぐに出てくるトンネル。入ると目が慣れていないので足下には要注意だ。

おまけにトンネルの途中で道路が二手に分かれている。コースはここを左折しダムに向かう。

二瀬ダムから見た荒川

ダムの上もコース。選手数の割にはコースは狭い

ダムを超えると山道に入る。あとはこういう感じが続く。

苦戦する登り

今回の心拍数。クリックすると拡大します
 2kmまでは全く問題はなかった。
 が、予想通りこのあといよいよ登りが始まった。前を走っていた元気な高校生も何人かがペースダウンして落ちてくる。老兵はここから若者を一人斬り二人斬りと進んでいくといいたいところであるが、こちらも余裕無し。この先のたった2kmが異常に長く感じる。

 1kmごとに距離表示があるが、感覚的にちょっと合っていないような気がする(他の選手もそういう意見だった)。3kmからはさらに登りがきつくなり、いよいよ練習不足が露呈してくる。しかしながら、同年代の選手はここまで前方にはいない。埼玉県まで遠征してここから逆転されるわけにもいかない。必死で登り、ひたすらゴールがやってくるのを待つ。ゴール前で再び高校生らに2人ほど抜かれるが、総合第5位、年代別では苦しみながらも優勝をすることができた。4kmと短い距離ではあったものの、非常に苦戦をした大会でありました。

4kmの部のゴール付近

4kmの部でゴールする選手

10kmの部の選手はここからまだ6km登る

アットホームな感じの閉会式。遠来賞もいただきました
 4kmの部は、閉会式会場の三峰山駐車場までバスで送ってもらいました。
 10kmの部の選手でまだ一生懸命に走っている選手も何人かいましたね。

 三峰山駐車場は、海抜1,000m強。スタート地点も涼しかったのですが、三峰山駐車場もさすがに涼しかったですね。夏はきっと気持ちのいいところなのでしょう。

 頂上では、主催者と地元秩父の「光の村学園」との共同作業で豚汁が作られ、参加者に配られていた。涼しいところで食べるとさらにおいしく感じるものでしたね。

 さて、ここまで登ってくると、特定の選手以外は主催者のバスに乗らなければ下山することができないので、閉会式はほぼ全員強制的に参加という感じです。

10kmの部のゴール。海抜1,000m超

閉会式会場は広場で・・・。

選手には豚汁が配られました

おいしそうな豚汁。ネギは私がじゃんじゃん入れました

豚汁の立ち食いをする選手たち

土産物屋もありました。

 しかしながら、閉会式では招待参加の大東文化大学の学生たち一人一人から意気込みを聞くなど、選手同士が近いような感じも見受けられました。この辺りが、手作りの大会らしくていいところです。

 また、4kmの壮年男子の部の表彰では一番高いところに上がらせていただきましたが、そのあとの特別賞で遠来賞の発表で再び名前を呼ばれ、会場からは「おおっ」との声(さっき優勝した奴だぁ〜)。みなさんよく見ていていますね。

 今回の遠征は、思ったよりも非常に楽しい大会だったなあという印象が残りました。いろいろといただいたものもあるし。既製の大会にちょっと飽きた方には面白い大会だと思います。

閉会式は青空の下で行われました

10km一般男子の表彰風景

招待参加の大東文化大学の学生たち。一言ずつ、今日の感想と抱負を語ってくれました。

今日の戦利品。左から優勝のメダル、トロフィー、そして遠来賞の盾と優勝の賞状

ネットでこんな記事を発見しました。東京新聞はいわゆる中日新聞・東京版だからでしょうか。いい扱いをしてもらいました。