第30回カーター記念黒部名水ロードレース 参戦記

 以前から出場してみたかった大会の一つに、この「カーター記念黒部名水ロードレース」がありました。
 冠となっている「カーター」とは、アメリカ合衆国第39代大統領のジミー・カーターのこと。黒部市の有名企業YKKの社長と親交があったようです(詳しくは本文参照)。

 大会名も興味を示すネーミングですが、ランナーズの大会100撰に選ばれている富山県唯一の大会であり、また毎年一流ランナーを招待しているので、どんな大会か以前から気になっていました。
 今回のエントリーは過去最高の6,801人ですが、私を含め愛知県からの参加者も230人と、遠方からでもこの大会に出場しようとする人が多いことがわかります。

 さすがにランナーズ100撰に富山県で唯一選ばれている大会だけにあって、いろんなところでその良さが光りました(詳しくは本文参照)。この大会のサービス等の良さはもちろん素晴らしいですが、この大会ならではという点では間違いなくそのロケーションでしょう。雄大な北アルプスを眺めて走るかと思えば、一転してシーサイドを走るコースロケーション。こればかりは自然を利用したものですから、他の大会では真似することは出来ません。まさにオススメの大会でしょう。

 さて大会の方ですが、もう少し涼しいかと思いきや、急激な気温上昇で名古屋とあまり変わらぬ暑さで少々グロッキーでした。4箇所ほどあった給水所では全て給水(黒部の名水でしょう)を取り、飲んだり惜しげもなく頭からかけたりと体を冷やしながらと苦労しながらのレース展開。終盤追い詰められる場面もありましたが何とか逃げ切り、先月の魚津しんきろうマラソン大会に引き続き富山県のメジャー大会を制することが出来ました。今日は暑さもあって本当にヘロヘロでした。

 

●大会名 第30回カーター記念黒部名水ロードレース
●開催日 平成25年5月26日(日)
●コース
 /大会要項
 /プログラム
黒部市総合体育センター発着(地図)(富山県黒部市) 

大会要項

プログラム


コースマップ
コースガイドはこちら
いずれもクリックすると拡大します
●天 候 晴れ、気温27℃くらい
●参加賞 Tシャツ(選べる参加賞)、ザバスプロテイン、スーパーバーム顆粒、、名水ダンゴ、名水鍋(豚汁又はカニ汁)、ますの寿し、宇奈月国際会館セレネ美術館特別割引券、吉田科学館プラネタリウム招待券、黒部市美術館招待券、黒部市総合体育センター招待券、宇奈月麦酒缶缶ビール10%OFF券、魚の駅「生地」ソフトドリンクサービス券・粗品プレゼント券、温泉入浴割引券、黒部の名水(飲み放題)、スポーツドリンク(コップ)、完走メダル
●結 果 36分49秒(10km:50歳以上男子 第1位、総合第19位)
●表彰 賞状、トロフィー、盾
●過去の戦績 初出場
●交通手段等
【5月25日(土)/1日目】
徒歩 自宅 6:02 自由ヶ丘駅 6:12
地下鉄 自由ヶ丘 6:20 本山 6:22 (名城線)
地下鉄 本山 6:29 名古屋 6:43 (東山線)
高速バス 名鉄BC 7:13 富山駅前 10:53
( 7:10 )
JR 富山 11:23 魚津 11:46
徒歩 魚津駅 11:46 ホテル 11:57
【ホテルで荷物預け】
徒歩 ホテル 12:05 魚津駅 12:15
JR 魚津 12:38 黒部 12:43
シャトルバス 黒部駅 12:50 会場 12:55
【受付/コース下見・試走】
シャトルバス 会場 15:00 黒部駅 15:12
JR 黒部 15:19 魚津 15:24
徒歩 魚津駅 15:24 ホテル 15:35
【魚津スカイホテル/泊】
【5月28日(日)/2日目】
徒歩 ホテル 8:22 魚津駅 8:29
JR 魚津 8:32 黒部 8:38
シャトルバス 黒部駅 8:43 会場 8:53
【第30回カーター記念黒部名水ロードレース 10km 10:30スタート】
シャトルバス 会場 12:50 宇奈月温泉 13:21
【宇奈月グランドホテル/入浴】
シャトルバス 宇奈月温泉 15:20 JR黒部 15:47
JR 黒部 16:22 富山 16:54
高速バス 富山駅前 17:20 ミッドランドスクエア前 20:53
21:02
地下鉄 名古屋 21:01 本山 21:15 (東山線)
地下鉄 本山 21:20 自由ヶ丘 21:22 (名城線)
徒歩 自由ヶ丘駅 21:22 自宅 21:32
※ 赤色の時刻は、実際に出発(到着)した時刻。青色の時刻は、出発(到着)予定時刻
●費用
参加料 3,000円  
地下鉄 520円 (自由ヶ丘〜名古屋/往復)
高速バス 7,200円 (名鉄BC〜富山駅前/往復割引)
JR  480円 (富山〜魚津)
570円 (魚津〜黒部/1.5往復)
570円 (黒部〜富山)
宿泊料 3,300円 (魚津スカイホテル)
入浴料 500円 (宇奈月グランドホテル/入浴割引券使用)
合 計 16,140円  
●種目、参加者数(申込人数) 及び 各部優勝者。10km 50歳以上男子は8位まで (★は加藤が参加した部門
【ハーフマラソン−10時00分スタート
区分 参加者数 優勝者氏名 住所 所属 記録
29歳以下男子 276人 五十嵐 真悟 群馬県   1゜08’27”
30歳以上男子 1,172人 岩山 海渡 茨城県   1゜10’44”
50歳以上男子 620人 市川 武 長野県 長野日本無線 1゜19’07”
一般女子 431人 坂本 喜子 三重県 三重陸協 1゜23’05”
【10km−10時30分スタート】
区分 参加者数 優勝者氏名 住所 所属 記録
29歳以下男子 175人 長谷川 士朗 愛知県 愛知工業大学 32’52”
30歳以上男子 570人 吉田 源吾 魚津市 ありそRC 33’42”
★50歳以上男子 436人 加藤 一郎 愛知県 名古屋市役所走友会 36’49”
堂谷 芳範 富山市 北陸電力 37’01”
川原田 博志 魚津市 スギノマシン 37’29”
木下 孝浩 富山市 TAMA−RC 38’05”
坂本 祐二 長野県 野村ユニソン 39’07”
飴山 敏克 石川県 パッション 39’18”
水野 敏博 富山市   39’30”
岡田 誠 富山市 いたち川RC 39’48”
一般女子 459人 渡辺 真由美 新潟県 T−らんちゅう 38’54”
【5km−9時00分スタート】
区分 参加者数 優勝者氏名 住所 所属 記録
一般男子 435人 宇田 智裕 朝日町 YGRC 15’44”
一般女子 303人 片原 渚 富山市 いたち川RC 19’18”
中学男子 326人 小林 海仁 長野県 川中島中学校 15’52”
中学女子 256人 藤田 優子 富山市 ACトヤマ 18’26”
【3km−9時06分(男子)、9時10分(女子)スタート】
区分 参加者数 優勝者氏名 住所 所属 記録
小学男子(3年以上) 464人 藤田 健人 富山市 ACトヤマJr 10’12”
小学女子(3年以上) 285人 伊東 すみれ 魚津市 teamMANO 10’41”
【車いす(10km)−9時45分スタート】
男子 23人 金児 知哉 長野県 チーム三七 25’46”
女子 1人 棚田 優子 富山市   43’21”
【2km−9時10分スタート】
区分 参加者数 優勝者氏名 住所 所属 記録
ジョギング 561人 表彰なし
総合計 6,801人 (←ゲスト8人を加えています)

今回も高速バスで富山へ

 先月参加した魚津しんきろうマラソン大会に出場する際にも、名古屋から富山まで高速バスを利用したが、今回も同じルートで富山までやってきた。先月と今月で一番大きな違いはバスで降り立った富山市の気温が高くなったこと。大会前日にコースの試走をしたが、名古屋と変わらぬ暑さだった。

 黒部市は富山県東部に位置する人口約41,000人ほどの小都市だ。「山(黒部渓谷)」「川(黒部川)」「海(日本海)」そして「温泉(宇奈月温泉)」の街をウリにしている。
 大会名に「名水」とネーミングしているが、北アルプスの鷲羽岳を源流とする黒部川が黒部の街を流れている。扇状地である黒部には湧き水が点在している。この湧き水のことを「清水(しょうず)」と呼び、生地地区では地域住民が管理する共同洗い場が10箇所もある。各家庭にはこの地下水を利用した井戸が約600箇所もあり、飲み水、炊事、洗濯として利用され黒部市民に愛用されている。

 黒部市は、先月出場した魚津市のすぐ東に位置する。
 魚津市が人口約44,000人ほどであるので、人口規模としては魚津市とあまり変わらないが、魚津市の面積が約200kmに対し黒部市は約426kmと倍以上であるので、黒部市の人口密度は魚津市の半分程度となる。会場近くで宿泊先を探したが、宿泊施設そのものが少ないため、今回も魚津市内で宿泊することとした。魚津市内でもランナーを見かけたが、私と同様に黒部市内で宿泊できずに魚津に宿泊場所を求めたランナーも決して少なくなかったであろう。

 とはいえ、2日ほどしか滞在していなかったが、この水の豊富な黒部という街は、生活をするには素晴らしい街であると感じた。魚津よりもさらに静かな街ではあるが、忘れ去られていく日本の原風景がこの黒部には残っているような気がする。
 人間が生きて行くには水は欠かせないものだ。この黒部に住む人たちは、この豊富な水の恩恵を受け、また水の有り難さを噛みしめ、また自分たちの住んでいる街には水が豊富に流れていることを認識し生活している。ややもすると、その有り難みを忘れてしまいがちであるが、この街の人たちはその有り難さを噛みしめながら黙々と生活をしているような気がする。
 北アルプスの雄姿を毎日眺めながら生活の出来る街、安らぎあふれる街「黒部」といっても過言ではないだろう。

今回も名古屋から富山へ高速バスを利用。乗り換えなしで3時間40分ほどで到着しますので利便性が高いですね。朝7時過ぎの便でしたが満席でした。

「越中富山の薬売り」で有名な富山ですが、富山駅前には「くすりやさん」と書かれたモニュメントがあります。

富山地方鉄道の市内電車。路面電車は珍しいですね。

富山からはJR北陸本線に乗り換え黒部へ。静かな駅前でした。

前日受付するためのシャトルバスが駅前に待機していました。会場までは5分ほど。

こちらは受付会場の黒部市総合体育センター。1996年に開設した施設。シャトルバスを降りると看板もあり、すぐにわかりますね。

アリーナ内にはスポーツショップのの出店が数店舗ありました。

こちらは前日受付。部門ごとに受付がキチンと分かれていますね。

受付後はTシャツ交換場所へ。今回は30回記念Tシャツが良かったですね。

スタート場所などへの看板もわかりやすいですね。

スタート場所の方から見た、黒部市総合体育センター。

総合体育センター前には「名水の塔」があります。すでに水遊びをしている子どももいました。

カーター記念黒部名水ロードレースとは・・・
 この大会の冠となっている「カーター」とは、ジミー・カーター。アメリカ合衆国第39代大統領のことだ。今から29年前の1984年、地元黒部の企業YKK株式会社の創立50周年記念式典に出席のカーター氏の黒部来市を記念し、第1回ジョギング大会を宮野運動公園陸上競技場をスタートゴールに開催している。
 ジョギング愛好家のカーター氏は、当初スターターだけの予定が、スポーツシャツ・ショートパンツ姿でスタートの号砲を終えると突然参加者1,500名と一緒にジョギングを始めた。このハプニングに参加者は大喜び。沿道の市民や参加者から大きな拍手が沸き上がったという。
 その後第10回大会を記念し、競技力向上を目指した国際的なロードレース大会に飛躍することを願い、日本陸連公認コースに。大会名を現在の「カーター記念黒部名水ロードレース」に改め、公認ハーフ、10kmの部を新設した。

 現在のコースは第18回大会から採用。これまでも瀬古利彦さん、増田明美さん、高橋尚子さん、千葉真子さんをはじめとして毎年一流ランナーをゲストとして迎えている。

 そして来年の第31回大会からは、北陸新幹線開業を記念してフルマラソンとなるため、ハーフマラソンは今回で最後となるという。時期的に暑くなるので、フルマラソンの開催も良いが、ハーフマラソンもそのまま残して欲しいというランナーも決して少なくないようだ。

スタート地点付近のタイルには、この大会にやってきたゲストランナーの足形が飾られている。このうち特に著名な選手のものを紹介します。

言わずと知れた「高橋尚子」さんのもの

高橋尚子さんの師匠の小出義雄さん

地元富山県出身の寺沢徹さん。東京オリンピック代表のほか、世界最高記録を出したほか日本記録を5回更新している。

世界選手権パリ大会の銅メダリストの千葉真子さん

ハーフマラソンの前日本記録(1時間00分30秒)保持者の高橋健一。30kmまでは速かったですね。

三代直樹。箱根駅伝では一世を風靡しました。高橋健一の大学、実業団の後輩に当たります。

瀬古利彦さん。説明は必要ないですね。

増田明美さん。こちらも説明は必要ないですね。

鈴木博美さん。世界選手権アテネ大会の金メダリスト。

川内優輝さん。ブレークしてますね。今回もゲストランナーです。

地元富山県出身の野尻あずささん。今回もゲストランナーです。

コース紹介(コースガイド)→
 こちらを参照してください。

暑さと疲労困憊の中でのレース
 5月はこれで3戦目。過去2戦は5kmのロードレースだったものの、今回は10kmにエントリーした。5kmに年代別のカテゴリーがないためである。
 今回のゲストランナーの川内優輝さんは、5月に入り今日でハーフマラソンは3本目という。試合をハイレベルな練習と見立てての参加であるそうであるが、故障しないかと他人事であるがヒヤヒヤしている。
 まあ、私の場合も彼と似たようなペースで大会に参加しているが、彼に比べれば距離も短ければ、ペースも遅い。彼などと比較すること事態、彼に失礼なことであるだろうが、私の場合は加齢のせいか最近は非常に疲労回復に時間がかかる。今回も金曜日にマッサージに出かけたものの、腰の張りや脚の張りが完全には抜けきらない。休養十分で完全に疲労が抜けきった状態では、逆に持久力のパフォーマンスが低下してしまうので、これはこれでよろしくない。長年、この競技を続けているが、休養とトレーニングのバランスを見いだすのはいつになっても難しい。

 さて、本日は出場する10kmは10時30分のスタート。2km〜ハーフマラソンまで6部門の中で最も遅いスタートとなる。冬などの気温の低い日には、気温が上昇する遅めのスタート時間の方がいい。しかしながら、今日のように5月でも急激に暑くなってきたような日は、早い時間のスタートの方がいい。

 10km部門に参加する人のナンバーカードは黄色と青色の2種類がある。黄色は陸連登録者、青色は登録していない人。もちろん自己申告であるが、登録者はスタートラインそばに並ばせてもらえるというメリットがある。私も今回は黄色ナンバー。登録者であることが一目瞭然でわかる。
 10km部門の陸連登録者は、29歳以下男子が12名、30歳以上男子が35名、50歳以上男子が15名、一般女子が12名の合計74名。スタート時間の5分ほど前に行ったこともあるが、最前列は確保できず2列目からのスタートである。


ハーフマラソンのスタート前。招待選手の紹介と挨拶です。左は川内優輝(埼玉県庁)さんです。人気者ですね。

10時ちょうどに出走のハーフマラソンの部門。この暑さの中で川内優輝さんは1時間03分58秒の大会新記録で走ってしまいました。5月だけで3本目のハーフマラソンです。すごい!

後方はこんな感じ。ハーフマラソンの部門の最後尾は、スタートラインを超えるのに、2分ほどの時間を要していました。

 10km部門のスタート前には、ゲストのユニバーサルエンターテイメントの後藤奈津子さん(なかなかの美人ですよ)の紹介と挨拶があり、10時30分に号砲とともにスタートする。この大会のユニークなのは、ピストルとともに会場にスタートのファンファーレが鳴り響くので、ピストルの音が聞こえなくてもスタートしたことがわかる。2,000人を超えるハーフマラソンの後方に整列したのランナーなどは、ピストルの音など聞こえないためだろう。いろんなところに気配りがうかがえる。。

 スタートしてから約200mほどで左折をし、一般公道に出る。この時点で私の前には男性ランナーばかり約20人ほどが走っている。序盤の体の動きはまずまず。前半で少し貯金をし、後半はペースをキープしながら逃げ切る作戦だ。1kmの入りも3分19秒とまずまずの感じだった。
 1kmを過ぎるとJR北陸本線にかかる跨線橋がある。10kmコースの唯一のアップダウンがこの跨線橋の上り下りといって良いだろう。ここはすり足気味に登り、無駄な力は使わない。下り出すとすぐさま左へループしながら跨線橋の下をくぐり、JR黒部駅方面へ向かう。富山地方鉄道のガード手前が2km地点。6分57秒で通過。この1kmが3分38秒なのでペースが落ち着きだしている。

 JR黒部駅前を左折し、黒部駅前の商店街へ向かう。ハーフマラソン、10kmのコースの中では一番応援の多いところかもしれない。コースはビミョーに登っているが気になるほどの登りではない。黒部駅前から第1折り返しまでは山に向かって走っているので、扇状地特有のやや登り坂となっている。

 黒部市民病院前が3km地点。さらにここから約550mほどで第1折り返しがある。ここで後続の選手とどの程度離れているかで、今日のレースが予定通り進むのか占うポイントでもある。

 第1折り返しを総合で17〜18番目で折り返す。
 折り返し後に最初に確認した私と同年代(男子50歳以上)の選手は、地元富山のD谷さん。この大会でも第26回〜第29回まで男子50歳以上の部で4連覇中の選手だ。先月の魚津しんきろうマラソン大会では私の次の2位に食い込んでいる。
 一番マークしていたランナーが、予想通り第1折り返し後、約7秒ですれ違った。つまり、概ね15秒ほどの差だ。ここまで1kmあたり4秒ほどの貯金といったとこであるが、全くセーフティーリードではない。今日は暑く、また疲労感が抜けていないので、後半になるともつれるかもしれないと覚悟をしていたが、まさか現実そうなるとは思わなかった。


ゴールを目指すランナーたち

 5kmの通過は18分02秒。
 今日は暑いこともあってタイムは狙えないものの、何とか36分台くらいにまとめて優勝だけはしたかった。後半も18分台でまとめれば、36分台程度ならいけそうである。

 5kmを過ぎ、再び富山地方鉄道のガードをくぐる。今度はすぐさま左へカーブしながら、跨線橋を登っていく。10kmコースの唯一の起伏であるが、ユニークな感じでありアクセントとして面白いコースだと思う。

本日のタイム(参考)
距離 SPLIT LAP
1km 3’19” 3’19”
2km 6’57” 3’38”
3km 10’38” 3’41”
4km 14’20” 3’42”
5km 18’02” 3’42”
6km 21’48” 3’46”
7km 押し忘れ
8km 29’20” 7’32”
9km 33’06” 3’46”
ゴール 36’49” 3’43”

 6km地点を過ぎるとそのまま日本海へ向けて直進をする。このあたりから30分前にスタートしたはずのハーフマラソンの選手が次々と現れ走りづらくなってきた。加えて暑さと疲労感で、早くゴールしたい気分。今日も万全の体調からほど遠いようだ。

 7km付近では、後方から息づかい荒く背後に迫る選手がいる。抜きはせず、ぴたりとくっついて圧力を感じる。後ろを見て確認はしなかったが、雰囲気でD谷さんではないかと察した。

 7.7〜7.8km辺りにある第2折り返しでターンする。第1折り返しですれ違ったD谷さんとはすれ違わなかった。やはり背後にいるのはD谷さん。第1折り返しから4kmほどで15秒差を詰めてきた。やはりマークすべき相手である。

 しかしながら中盤の追い上げで疲れたせいか、D谷さんが抜いていく気配がない。私はラスト勝負に備え、ペースをキープしながら走っていたが、9km辺りでは荒い息づかいが徐々に聞こえなくなっていた。中盤の急激な追い上げがたたったのであろうか、それとも何かを企んでいるのであろうか。こちらも最後の勝負に備える準備はしていたが、再度、黒部市総合公園に入る頃には大差となっていた。ラストスパートをすることもなく、今日のレースは幕を閉じた。


あと400mほどでしょうか。仲間の声援も大きくなってきました。

総合公園内は家族の応援が多い感じですね。

暑い日でしたが、無事にゴール!

すぐ近くに記録証発行所があります。

 ゴールしてゴクゴクと水を飲んでいると、D谷さんが寄ってくる。一ヶ月前の魚津で彼が唯一負けている相手が私なので、よく覚えてくれていたようだ。「いやー、せっかく追いついたのになあ〜。加藤さんもきつそうだったけどね・・・。前半貯めておいて、後半に上げていくつもりだったけど今日は最後は上がらなかったですよ。2週間前、トラックの(10,000m)で35分台が出たからいけると思ったんだけどね」と。

 D谷さんは富山ではかなり強いランナーのようである。彼が言うには「愛知県からは強い選手がこちらによく乗り込んで来る」という。彼が決まって負けるのは愛知県のランナーだということが言いたいようである。50歳代では必ずしも私が愛知県でナンバーワンランナーではない。距離にもよるが、実力的には3〜5番目くらいだろうか。

 確かに今回私がやってこなければ、彼はこの部門で5連覇したのであったが、たまたまこの大会に興味を示した私がやってきたせいで、彼の連覇が止まってしまった。
 アウェーのランナーに負けたにもかかわらず、D谷さんという人はあっけらかんとしている。負けて悔しいどころかニコニコしながら話をする不思議な人だ。走っている間は、きりっとしているのであろうが、終わると切り替えが凄い。普通に話をしていると、穏やかなおじさんといった感じ。これで二度お会いしたが、いたって紳士的なランナー。好感の高い方である。また機会がありましたらよろしくお願いします。

ランナーズ100撰の大会である理由
 実際に出場してみてこの大会の評判の良さがわかったような気がします。ざっとあげてみただけでも、9つくらいその思い当たる理由がありました。

(1) コースロケーションの素晴らしさ
 残雪が多く残る北アルプスの眺め、黒部市のメインストリートで声援を受け、日本海の眺められるシーサイドを走るコースというのは、簡単にできそうでできないですよね。黒部という街は、自然の地の利のいい街であることがよくわかります。
(2) ホスピタリティーの素晴らしさ
 大会前日、当日ともにいたるところに、係員が配置されています。人口約41,000人の街としては、相当多くの住民がこの大会の裏方として働いている感じがします。みなさん、挨拶がキチンと出来ているので、選手側としても非常に気持ちが良いです。
(3) 非常によく考えている
 会場周辺は交通渋滞を起こすことが多いですが、シャトルバスの通り道や、シャトルバスの本数などストレスない感じで出発しています。シャトルバスの運行時間といい、区間といい選手側のことをよく理解した上での運行計画がなされているような気がします。
(4) サービス豊富
 会場での飲食物のサービスがいい。富山の名産「ますの寿し」、カニ汁、名水ダンゴと地元のPRがよくできている。遠方からの参加者がわずかな時間で地方を食することが出来るような配慮がいい。高級でちょっと手が出にくい宇奈月温泉などの温泉の入浴割引券もありがたいと思う。
(5) 1kmごとの距離表示
 私はあまりこだわらないが、1kmごとにタイムを計りながら走るランナーがいる。起伏があるコースや風が強い日には1kmごとのタイムはあまり意味を持たないと思うが、1kmごとの距離表示があった方がいいというランナーは多い。こういう人たちに1kmごとの距離表示の設置は支持されるだろう。
(6) 日本陸連公認コースで距離が正確
 ランナーとしては実力を知るためにはありがたい話。おまけにコースが比較的平坦なので、気温の上昇さえなければそこそこのタイムが出るコースでもあります。
(7) 毎年の旬の一流ランナーの招待
昨年、今年と現在大ブレーク中の市民ランナー川内優輝さんを招待するなど、旬の一流ランナーの招待が良いですね。また、地元富山県出身の野尻あずささんの招待、地元YKKの実業団選手VS川内優輝さんの企画(と勝手に私が思っている)もランナーとしては非常に興味津々でした。
(8) 給水箇所の多さ(今回は暑く助かりました)
 給水場所の設置箇所はやや不規則でしたが、黒部の名水をふんだんに使用した給水所というのは最高です。どの給水所の水も北アルプスの雪解け水で、冷えていて非常に気持ちが良かったです。
(9) ゴミの選別
 黒部市のゴミの選別のルールはよく知りませんが、この大会では会場のあちこちにゴミ箱が用意されています。そのゴミ箱の前には係の方が待機していて、間違えて分別されたゴミをキチンと分けて整理していきます。生ゴミ、燃えるゴミ(紙コップ、はし等)、燃えないゴミ(ビニール袋等)、ペットボトル、空き缶など見ていても気持ちが良いですね。ランナーもつられて分別するので必然的にみんなマナーが良くなります。

 細かいところをあげればキリがないくらいこの大会の良さはありますが、いろんなことを大会事務局がよく検討し実行に移しているところでしょう。この素晴らしい大会を、気持ちよくかつ手際よく運営している裏方さんの中心人物の顔を一度拝んでみたいと思いますね。本当に素晴らしいですよ。

天気が良かったので、屋外で陣取っている方も多かったですね。

大会当日は暑く、この「名水の塔」で水遊びをしている子どもがたくさん見受けられました。

とにかく出店が多いです。

昨日体育館内にあったスポーツショップは、屋外へ移動。

ランナーで賑わっていますね。

こちらは参加賞の「まつの寿し」の引換所

こちらも参加賞の「名水ダンゴ」の引換所

そして最後に「カニ汁」の引換所

鍋で大量のカニを茹でています。

これがチケットと交換でいただいた3種類の参加賞の食べ物。身は少々スカスカでしたが、お椀にカニが収まらないのが良いですね。

完走後にこれらの参加賞をもらって青空の下で食べている方が多かったようです。

恒例の優勝記念のビール。今日の移動はバスなので気兼ねなしに飲めますね。

ステージでは表彰が行われます。また12時30分からの抽選会のために、待っている方も多いようです。

宇奈月温泉
 黒部市の中心部から30分ほど山奥に入ったところに宇奈月温泉がある。黒部川の上流の渓谷という立地だ。宇奈月温泉の歴史については、宇奈月温泉旅館組合のサイトをみると以下のように書かれている。いくつかを抜粋する。
宇奈月温泉有史以前 
 黒部峡谷には、藩政時代(1600年代)から多くの温泉(たとえば鐘釣温泉、黒薙温泉、祖母谷温泉)などがあることは知られていました。しかしこれらは人跡未踏の原始林に囲まれ、道らしい道もなく、森林を見まわる一部の役人だけにしか知られていなかったのです。やがて大正中期以降、黒部川の電源開発が進められるようになって、それらの関係者によって利用されはじめました。これがきっかけとなって、宇奈月温泉の歴史の一頁が開かれたのです。
大正12年(1923年)
・黒部鉄道(現在の富山地方鉄道)が宇奈月まで開通。
・宇奈月温泉引湯線完成。
 大正10年頃、「むき出しの木樋ではなく水圧のかかる竹筒のようなもので引けば湯温の低下を防げるのでは?」との考えのもと、細い木管を利用してこの年の11月に敷設を終了。11月下旬のある日黒薙の湯元のバルブが開かれました。おおよそ一時間ほどして、チョロチョロと出てきたのは水…。しかし、数時間後には管から熱湯がほとばしり、皆がはしゃぎまわったといわれています。
昭和38年(1963年)
・黒部川第四発電所(当時の出力252,000KW)が竣工。そのなみはずれた工事の困難さとスケールの大きさは世界的に有名です。
・宇奈月公園に昭和天皇陛下の歌碑できる。
昭和33年に昭和天皇皇后陛下が御来遊になり御製を次のように残されました。
「紅に染め始めたる山あひを 流るる水の清くもあるかな」
これを永く記念し、お歌碑を宇奈月公園内に建立し開湯40周年の記念事業としました。
昭和44年(1969年)
・第20回全国植樹際、昭和天皇皇后両陛下ご来町。両陛下宇奈月温泉にご一泊。

 昭和の高度成長期に、2度も昭和天皇がこの地を訪れていることからわかるように、当時としては富山県における最高の温泉施設だったということだ。もちろん現在でも一日約3,000トンをほこる湯量があり、温泉としての魅力は十分にあるものの、今回訪れてみたところ施設の多くが老朽化していて、かつての賑わいがやや薄れている感じがする。


後日、実家に帰って写真を探したものの見当たらず。台所には、当時、黒部渓谷で購入したと思われる記念のものが見つかった。廃材の白樺を利用したものと思われる。
 私の記憶の中には全く無いが、幼少の頃、家族でこの宇奈月温泉に訪れた写真がある。実家に行ってその事実を確認をしなければならところであるが、当時宿泊したのはおそらく「宇奈月グランドホテル」。訪れたのは、おそらく昭和40年頃だったと思う。仮にそうであるとすると、この宇奈月温泉に足を踏み入れるのは45年以上ぶりとなる。
 今から45年以上間前、この宇奈月温泉に行くなどという旅行の計画など実家にいる母親が立てることはあり得ない。今は亡き父が計画したことは間違いないだろう。
 昭和38年に黒部ダムが完成し、昭和40年頃には一大観光地となった黒部渓谷に涼を兼ねて出かけたことは察するまでもない。当時は凄い人気だったのであろう。鼻高々に私たちを連れてきたに違いない。

 今回宇奈月温泉には2時間ほどの滞在時間であったが、当時、人気のあった宇奈月温泉を父も気に入っていたに違いないだろうと感じる。

 さて、大会主催者からいただいた入浴割引券をどの施設で使用するかということについては、迷うことなくこの「宇奈月グランドホテル」と決めていた。行ってみれば当時のことを少しでも思い出せるのだろうか。そんな思いで宇奈月グランドホテルに足を運ぶ。
 しかしながらホテルの前に立っても、思い出せないし、またホテルの館内に入ってロビーなどを見渡しても、当時のことを全く思い出せなかった。小さいときの記憶などこんな程度だろう。がっかりすることはなかったが、ホテルの作りを見ると古い施設ではあるが、大切に使っている雰囲気が出ている。45年ほど前はもっとピカピカで、子どもながらに大はしゃぎをしていたかもしれない。

 父が亡くなってから今年でちょうど20年経ったが、こうして宇奈月温泉にやってきて久しぶりに父のことをしみじみと思い出したのであった。

会場からのシャトルバスを降りると、そこは宇奈月温泉。

宇奈月グランドホテル。45年以上前にここに泊まったんでしょうか。

宇奈月グランドホテルの全景

フロントとロビー。昔ながら、古いですがきれいにされています。

こちらは富山地方鉄道の宇奈月温泉駅。大正12年に開業。現在の駅舎は、昭和57年に建てられたもの。

駅前には、温泉の湯を使った噴水があります。さすが温泉の街ですね。

宇奈月温泉駅の横は土産物屋が多く建ち並んでいます。夏に向かって観光客が増えていくことでしょう。

帰路は富山地方鉄道を利用したかったところですが、予算の都合上シャトルバスを再度利用して、JR黒部駅へ戻りました。

本日の戦利品


ロードレースだけあって、副賞なしで賞状、盾、トロフィーをいただきました。

かなりどっしりとしたクリスタルの盾(左)です。珍しいので玄関先に飾ることにしました。

これは参加賞ではありませんが、完走者全員に配られる記念メダル。中央に刻まれているのはもちろんジミー・カーターです。

メダルの裏には、大会の開催年月日、大会名が書かれています。