第59回福岡国際マラソン選手権大会 参戦記 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
タイム的には決して満足できるものではありませんでしたが、天候に恵まれなかったことを加味すれば、まずまずではなかったかと思います。 9月15日付News「フルマラソンへの取り組み方」で、フルマラソンに対する取り組み方法を紹介した手前、「それなりの結果を出さねば!」という気持ちもあり、30km過ぎから腹痛に悩まされながらも頑張ってきました。 今回の参戦記は、フルマラソンの前日、当日の取り組みを中心に書きましたので、これからフルマラソンに挑戦!という方はぜひ参考にしてください。
午前5時起床。いよいよ福岡へ向け出発する日がやってきた。 福岡へ行ってから、あれこれ練習するのもイヤなので6時から10kmほどジョグをする。いつものロード練習コースで気持ちを高ぶらせながら走る。名古屋の東部からいよいよ福岡へ出陣だ。 午前7時過ぎ、子どもたちが起きてくる。「お父さんは、今から九州の福岡というところにいってくるからね」と告げる。小学3年生の長男と小学1年生の長女。小学生とはいえ、いまひとつ父が何を意味して言ったのかを理解していないようだ。彼らがもう少し大きくなって、「父ちゃんがマラソン男子日本一を決める大会に行っているんだ」ということを理解できるまで頑張るしかない。あと何年参加し続けられるのであろうか・・・。 「のぞみ」で博多へ 今回の福岡入りも先月の下見に続きJRの「のぞみ」だ。飛行機という選択肢もあるが、最寄りの空港が豊山町の名古屋空港から常滑市の中部国際空港へ移ったことから、我が家から空港までが遠くなり飛行機に乗るのがおっくうになった。 それでも所要時間でいえば飛行機の方がJRに比べれば確かに速いが、JRの最速「のぞみ」の方が乗り換えが少ないという利便性で今回も福岡入りすることにした。 宿泊は「博多東急イン」
先月、コースを自分の脚ですべて走破しているので、今回は下見バスには乗らない。前日はのんびりするという選択をし、さっそく今日の宿泊先の博多東急インへ向かう。 博多東急インは、当初、予定していた宿泊先ではなかったが、JR東海ツアーズの「いざ出張 小倉・博多」で斡旋する一番格安クラスのホテルが満室でワンランクグレードアップしたものだ。 この「いざ出張 小倉・博多」プランは、往復新幹線のぞみ(名古屋〜小倉または博多)+ホテル1泊で最安値が24,800円という信じられない値段だ。ただし、新幹線の利用できる列車が限定されているのでこれさえ少し我慢すればいい。とはいうものの、往路5便、復路4便で決して悪い時間ではない。ただ、今回は復路は指定外の便で+1,000円、ホテルもワンランクアップで+500円で合計26,300円払ったが、それでも十分安いと思う。 今回博多東急インに宿泊したが終わってみれば+500円でもいいホテルだった。 というのも
オマケに昨日気がついたのであるが、2月の別大マラソンの申込先が毎日新聞西部本社。これがなんと博多東急インと同じ建屋にあるのだ。チェックインのついでに毎日新聞社・事業部へ申込書を持参する。土曜日ということもあり、事業部は空っぽであったが、室内にいた方に手渡ししておいた。 「明日の福岡国際マラソンに出場します。今日は博多東急インに宿泊するので、直接持参させて頂きました。」というと「そうですか。頑張ってください!」とエール。たった一言であったが頑張ろうという気になる。 下見〜裏方さんたちに感動! 今回コースの下見はしないが、会場までのアクセス、会場での控室、トイレの位置などは初めてなので見ておかなければならない。 博多東急インの前には、「市役所北口アクロス福岡前」という少し名前の長いバス停がある。ここから、陸上競技場の最寄りバス停「大手門」までは、西鉄バスで「1,3,5,13,40,140系統」の6種類あり、休日の10時台でも1時間あたり合計23本。所要時間も15分で便利だ。わざわざ地下鉄に乗らなくてもいい。 一ヶ月前のコースの下見に来たときと違って、平和台陸上競技場は明日の福岡国際マラソンに向けて大きく変貌していた。 先月は全く無かった仮設プレハブ。3棟あり、1棟あたり約100人と少々狭いが明日のためにわざわざ準備していただけるのがとても嬉しい!仮設プレハブには、寒さに備えてストーブも用意されている。 競技場もきれいに着飾っている。競技場から取付道路へはゲートが設置され、また、競技場内には、スポンサーの垂れ幕が一周にわたって飾られている。テレビ局の報道車両も既に多く待機している。 競技場の正面では、多くの人がほうきで丁寧に落ち葉を拾い集めていた。1年に1度の国内最高峰の男子マラソンであるこの大会のために、多くの人とお金がつぎ込まれていることをあらためて実感。受け入れ態勢の素晴らしさを感じさせられ、ますます「頑張るぞー!」という気持ちが沸いてきた。
あさましい選手の夕べ 大濠公園のスタート位置の確認だけして、受付会場の西鉄グランドホテルへ徒歩で向かう。西鉄グランドホテルもなかなか立派なホテルだ。ホテルボーイの教育もしっかりしていることが伺える感じのいいホテルだ。
受付は2階。引換券と交換にナンバーカード、参加賞などをもらう。 受付のすぐ隣には、明日のゼネラルテーブルで配られるスポーツドリンクの試飲が出来るようになっていた。飲んでみるとアクエリアスが2〜3倍に希釈されたものだった。
この時点で15時30分過ぎ。17時30分からの選手の夕べ(立食の夕食会)には、まだかなり時間があるので天神の本屋で時間をつぶす。最近は忙しいので、なかなか本屋へ足を運ぶ時間がないので本もいろいろと物色したい。 本屋に寄ったあと一旦ホテルに戻る。ユニフォームにナンバーカードの取付など、明日の準備で先に出来ることを行う。 17時30分過ぎ、少し眠くなってきたが選手の夕べに向かう。ホテルに再び到着するが、名古屋市役所の後藤さんの姿が見あたらない。電話をすると朝早かったので、既に博多駅前のホテルに戻ったとか。「そーかぁー。じゃあまた明日ね!」仕方なしに一人で会場に入ってみるたところビックリ。なんと17時30分から始まっている選手の夕べであるが、既に20分ほど経過した時点で、食べ物という食べ物はほとんど食べ尽くされていた。会場を一周したが、残っているのは肉類とビールくらいか(さすがにあまり飲み過ぎの人はいない感じ)。これではいる意味が全くない。 さっさと会場を後にして、再び天神へ向かい夕食をとる。カキフライ定食を注文するが、こちらの方が落ち着いて食べることが出来てよかった。大会前、それもフルマラソンの前には必要以上にエネルギーを使いたくない。
少し買い物をして19時にはホテルに戻る。 明日の天候が気になる。テレビを見ても、新聞を見ても明日の天気は「雨」。午後からは「雪」に変わるとか・・・。始めてきた福岡で最大の試練か?いいじゃないか!走る選手にとっては条件みな同じだ。ここまで来れば、いい意味で開き直るしかない。でも、晴れのがいいなぁ・・・。 わずかな期待を残し21時30分就寝。
午前8時起床。スタート時間が12時10分なので、非常にゆったりとした朝だ。最近睡眠不足がちだったのでついでに取り戻したともいえる。 さて、さっそくカーテンを開けて外を見る。地面が濡れている。「やっぱー雨かぁー・・・」そう、今日の天気予報は、6−12時・雨、12−18時は何と「雪」である。昨日の土曜日は、あれほど晴れていたにもかかわらずたった1日で大違い。何とツイていないことか。 いやいや天気を恨んでも仕方がない。それよりも悪条件の中でいかにパフォーマンスを十分に発揮できるかを考える方が大事だ。何回も大会に出ていれば、天気のいい日もあれば、当然悪いも巡ってくる。だからいろいろと対策を考えなければいけないのだ。 本日の対策紹介します さて本日の福岡向け(マラソン向け)に考えた対策をご披露します。 @マメ防止対策 この大会に限ったことではないが、マメ防止対策は重要だ。 マメが出来る最大の原因は、シューズが足にフィットしていないことだ。もちろん大きすぎるシューズ、小さすぎるシューズは論外であるが、大きさが丁度いいシューズであってもマメができることがある。 これを防止するためには、マメの出来やすい箇所にクリームまたはワセリンを塗ることだ。こうすることによって皮膚のこすれるところの摩擦を軽減できる。フルマラソンのように2〜3時間も走る中でマメを「0」にするのはなかなか難しいが、マメによるパフォーマンスの低下は悔やまれる。 ちなみに今回は、右足の人差し指の付け根から下へ約4cmのところに、直径約1cmのマメが一つ出来てしまったが走るに大きく影響を与えるものではなかった。 クリームの種類、量、塗る箇所については日頃から試行錯誤が大事であることはいうまでもない。 Aウェアとの擦れ防止対策 乳首などが擦れるのを嫌い、バンドエイドを貼っている人を時々見かける。自分はしたことがないが、立派な対策だ。ただ、自分の場合ランパンでは、長距離(20km以上)走ると擦れが出てくることがあるので、今回、大腿部の付け根あたりに大きめのバンドエイドを貼った。結果的には、別のところにスレが発生してしまったので失敗であった。次回の検討課題だ。 Bエネルギー切れ防止対策 Bグループの選手は、スペシャルドリンクを置くことが出来ない。従って、エネルギー切れ防止対策も考えなければならない。 今回、この対策に初めて採用したのが「ういろう」だ。「ういろう」といえば、名古屋では簡単に手に入る食料?だ。トライアスロン界の大御所宮塚英也さんも補給食にういろうを使っていたというので事前テストなしに採用したのであったが、実は失敗であった。30km過ぎからの腹痛に悩まされスピードダウンを余儀なくされたと思われる原因が、恐らくこのういろうだからである。 「ういろう」の大手メーカの青柳ういろうさんのHP中のコンテンツ青柳ういろうQ&Aを見てみると、ひとくちういろう1個(50g)で92kcal。青柳とは同業他社メーカではあるが、この「ひとくちういろう」サイズのものを朝食後にさらに5個食べたので、92×5=460kcalものエネルギーを摂取したことになるが、Q&Aの製法に書かれている「澱粉(でんぷん)」も大量に摂取してしまったのだ・・・。 C寒さ対策 12月となればさすがに冬。福岡は過去からも天候に恵まれないことが多い。気温が15度くらいならば寒さ対策も特に考慮しなくてもいいが、気温が10度以下で2〜3時間走るとある程度は考えた方がいい。 30代に比べて40代になり昔に比べると寒さに弱くなった。これも老化であろうか? 今回、採用したのがアームウォーマーだ。ここ2年くらいちらほら見かけるようになったのだが、自分自身使う機会がこれまで無く今回が初めての使用になる。練習で1度使ってみたが体にフィットして大変よかった。今回は特に気温がスタート時で9℃弱。ゴール時で6℃まで下がっていたのでそういう意味ではベストチョイスだった。 D雨対策 結論からいえば、雨対策は難しい。雨を避けて走ることなどは到底不可能だ。ただし、部分的ではあるが保護することは可能だ。どこかといえば「手」の部分である。 体の先端である足の指、手の指などは血液の循環に時間がかかるので、血行がどうしても悪くなりやすい。だから、その保護に手袋をしているのであるが、この手袋も雨で濡れるとかえって冷たくなるので厄介だ。 今回スタート時には、雨が止んでしまったので直前になってやめてしまったのであるが、手袋を雨からまもる対策としてゴム(ビニール)手袋を上から重ねることがある。 ゴム(ビニール)手袋といっても大袈裟なものではなく、イメージとしては医者が手術をする際に着用するペラペラのフィット性の高いものだ。全く同じものではないが、近所のドラッグストアで探したところエステー化学社製の極薄手のビニール手袋があった。8枚入りで208円。経済的だ! 晴れていても、給水時に手袋が濡れるのを嫌うというのであれば一度使ってみればいい。 もうひとつの雨対策として有効なのが体にクリームを塗ることだ。 こうすることによって雨をはじき、若干ではあるが皮膜を作ることによって保温効果も見込めるかもしれない。 それから、試したことはないがスキーウェアにかける撥水スプレーをランニングウェアにも使ってみたらどうかなとも思う。これも多少は雨をはじく効果があるかもしれない。誰か試しにやってみてください。 以上が今回福岡向けに重点対策として行ったものだ。 もちろんこれ以外にも疲労が抜けきらないところは、福岡に入ってからもセルフマッサージをしたり、鍼治療をしたり、やれることはかなりやってみた。 マラソンは、大会向けの練習がうまくいったといって安心してはいけない。フルマラソンは総合力だ。練習、休養、コンディショニング、事前準備、ペースメイク、天候、コース、同走選手のレベルなど記録を出そうと思えばやることは山ほどあるのだ。 会場へ
このころ、雨は小降りになっていたが、時々突風も吹く最悪の天候の予感・・・。3年ぶりのフルマラソンで、マラソン勘が無くなっているので無事完走できるか若干不安がよぎる。 10時30分頃、平和台陸上競技場横のプレハブ小屋に到着した。 自分の割り当ての部屋に行くが既に満員状態。遠征でみな荷物が多いので結構場所を取っている。仕方がないので部屋の隅の机の上を自分の陣地とした。しばらく、今日の朝刊などに目を通してくつろぐ。 11時。スタート約1時間前なのでアップに出かける。プレハブ小屋から300〜400m離れたところが大濠公園のスタート場所。再度イメージを湧かせることを考慮して大濠公園を一周ジョグした。一周が2kmなのでアップにはちょうどよい。 再びプレハブに戻る。 11時30分頃からユニフォームに着替えストレッチをして体をほぐす。スタート時間は12時10分ではあるが、最終コールがあるので11時50分にはスタート地点へ向かう。最終コールは、ナンバーカードに付いたタグのチェックだけ。つまりセンサーによるチェックだけなのでシンプルだ。 12時5分頃から、スタート地点に選手が係員に催促されて並び出す。並ぶ順序は、ナンバーカード順だ。これは、係員が厳しくチェックして整列させる。 このナンバーカード順というのは、簡単にいえば持ちタイム(記録)順である。ナンバーカードの数字が若い方が持ちタイムがいいので速いことになる。ただし、持ちタイムも申告の記録が、フルマラソンの速い順、30kmの速い順、ハーフマラソンの速い順となる。 今回自分の場合はハーフマラソンのタイムで申告しているので自分のナンバーカードは「502」番。一番最後が「510」番。501〜は最後尾からのスタートだ。 スタート2分ほど前に、走友の名古屋市役所の後藤さんがやって来た。彼は「491」番、すぐ前の列。スタート前に「頑張ろう!」と握手をする。いよいよ3年ぶりのフルマラソンのカウントダウンが始まった。 スタート〜5km 12時10分。ピストルの空撃ちもなく第59回福岡国際マラソン選手権大会が始まった。自分の走歴に「福岡」という文字を刻んだ瞬間でもある。 今日の当初の予定は「18分30秒/5km」で通して走ることである。 1ヶ月前の練習会の5000mの記録が16分34秒、2週間前の10kmロードレースの記録が34分16秒から、マラソンのペース算定の基礎である5km(5000m)の実力値を「16分35〜40秒」とした。(10kmのタイムから5kmの予想をするのは1分引いて2で割れば予想タイムが出る。 → 34分16秒−1分=33分16秒、33分16秒/2=16分38秒 となる) この5kmの基礎タイムに概ね1分30秒〜2分のタイムを上乗せしたタイムがマラソンの5kmごとのペース設定値となる。ここで1分30秒〜2分という幅があるのは、当日の天候、自分の疲労の抜け具合によって判断することになる。もちろん5kmの基礎タイムが20分となれば上乗せは2〜2分30秒くらいに大きくなっていく。 このペース値を「18分15秒/5km」とするか「18分30秒/5km」とするか、一週間考えに考えたあげく後者の「18分30秒/5km」とした。最後に決断した理由はやはり3年ぶりのフルマラソンで、マラソン勘が無くなっていることを考慮して一番ゆったりとしたペースとした。 このあたりの決め方は、自分の実力を冷静に判断して決めること。単に希望値を設定値にしてはいけない。 さて、話をレースに戻そう。 さすがに最後尾からのスタートだけあって、スタート時のもたつきが多少あった。動き出してからも前がつっかえているのでペースが上がっていかない。大濠公園を半周ほどしたところに、1km地点を示すカードを持った人が立っている。3分50秒。遅い!スタートのもたつきを+10秒と仮定すればこんなものかもしれない。 1周してきてスタート地点を再度通過。その先に2km地点がある。ここでの通過が7分30秒。1km〜2kmがようやく3分40秒になった。今日はこのペースで固定だ。 公園内にあるレストランの前を通過し、いよいよ公園外の取付道路へと向かい福岡の街へ繰り出す。
合流した2.4km地点から福岡の副都心?の西新(にしじん)までの応援は最高だった。この体験は初めてだ。おそらく再来年のオリンピック選考会になるこの大会の応援はもっと凄まじいものになるに違いないと感じたのだった。
5km〜博多駅前(23km) 西新を過ぎてももちろん賑わいは続く。ただし、スタート時には止んでいた雨も、再びポツリポツリと降り出していた。これ以上降ってこないことを祈るばかりだった。 6km過ぎに室見川にかかる室見橋を越え姪浜(めいのはま)へ向かう。片側3車線あった道も2車線→1車線と車線数が減少してくる。応援もやや少なくなってきた。 西新あたりではあまり感じなかったが、姪浜あたりでは、時折突風が吹き、雨脚も強くなってきた。手袋の上にビニール手袋を重ねなかったことにやや後悔する。ただし、体調は良さそうだ。まあ、ペースも遅いこともあるだろうが、1kmごとのタイムを見ていても相変わらず3分40秒〜45秒かかっている。
しかし、それよりも雨脚が強いので体が冷え、何とかならないかと気になる。 9.5kmあたりから、1km程度ではあるが福岡都市高速の下を走るので、この間は雨から逃れることが出来た。 10km通過37分28秒。この5kmも18分45秒と相変わらずゆったりしたペースだ。予定の18分30秒のリズムが刻めないので、このあたりで今日はこの18分45秒で通していくことに気持ちを切り替える。 10.5kmの青果市場入り口交差点でまた左折。ここからは東進し福岡の中心街へ向かう。
ここから7kmほどは道なりに走るので単調だ。 先月のコースの下見時と同様に天気が悪いので気が少し滅入るが、リズムを崩さないように淡々と走る。あまり遠くを見ずに、視線をなるべく足下に落とし、ピッチのことだけを考える。 15km地点の西鉄ストア前通過。56分06秒。この5kmは18分38秒。追い風になったにもかかわらず、ペースはほとんど変わらない。 この先約16km地点にある別府(べふ)橋がこのコースの最大の勾配になるが、前半でもありみな余裕で登ってくる。ここから17kmあたりがちょうど大濠公園の南側に相当するところで、スタート時に見送ってくれた人たちが再び現れて応援する観戦ポイントらしい。なるほど応援の人が増えたような気がする。
17km地点の護国神社横を通り過ぎやや右に向きを変える。15km過ぎから、集団のペースがやや遅くなっていたので少し抜け出して、前の集団に向かう。そのためこのあたりは、一人で走ることになった。 18kmの警固交差点までは東進しているにもかかわらず、時折突風が吹いたりするものの、概ね追い風に助けられ、19kmあたりで前の集団に追いつく。 平尾の交差点を左折するとすぐに20kmだ。1時間14分40秒。この5kmは18分34秒とこれまでの区間で最速になる。いいペースだ。那珂川にかかる百年橋を越えると中間点の日大ビル前にやってくる。1時間18分48秒。単純に行けば2時間37分台のペースであるが、後半31kmの折り返しからは間違いなく向かい風。2時間40分を切れるかどうかは微妙なところだと感じていた。
いよいよ、博多駅前に近づいている。西新の賑わいの中で走れたのも爽快であったが、今日もうひとつ楽しみしているのが博多駅前から北西にのびる大博通(たいはくどおり)を走ることだ。名古屋でいえば名古屋駅前から桜通を東へ向かって走ることに等しい。 JR鹿児島本線のガードが近づいてくるが、その手前の美野島交差点を左折し針路を北にとる。22km過ぎの博多駅前4丁目交差点を右折すればいよいよ博多駅前まであと500mだ。 前半期になっていた雨も止みつつあり、若干運も向いてきたような気がした。 天候がさえないせいか、博多駅前の人通りは思ったよりも少なかったものの、片側3車線の大博通を走れるのは最高だった。このあたりまで来ると、前半オーバーペースで調子を落とす選手が目につく。自分も10人ぐらいのグループの中段にいたが、グループのペースがやや落ちてきたので前に出てグループを引っ張る。本当は、このように前に出ることは、マラソンの中ではエネルギーを消費する原因になるのでしない方がいいのであるが、ペースが落ちている場合にはやむを得ないことかもしれない。
後半戦開始 ここまでは順調だ。 過去のマラソンでは、25km位で疲労を感じはじめ30km過ぎから失速をすることが多かったが、今日はペースにゆとりがあるせいか、いまのところそんな気配は感じられない。いいいい感じだ。 2kmほど大博通を走りつきあたりの「築港本町」交差点」を右折すると25km地点だ。1時間33分23秒。この5kmは18分43秒。相変わらずいいペースだ。しかし油断は禁物、。いつガタッと来るかわからない。 千鳥橋を渡り、左折すると国道3号線に入る。今は国道3号線のバイパスがあるものの九州一の大動脈であることには違いない。ここから香椎(かしい)の折り返しまではまた一本道でやや単調になる。 26km付近の東浜には商業施設がところどころに現れる。郊外といった感じのところだ。27km付近には右側に箱崎宮の赤い鳥居が見える。この大会では必ずテレビに映される有名な八幡宮だ。 28kmくらいだろうか、既に香椎の31.4kmあたりの折り返しから平和台に戻ってくる先頭の選手とすれ違う。ナンバーカードからして外国人の招待選手だ。日本人といえば、4番目に藤田(富士通)とすれ違う。国近(SB食品)とは藤田からかなり離れたところですれ違う。その後もポツリポツリと前を走る選手たちとすれ違う。 多々良川にかかる名島橋を渡ると30km地点。井口食品前だ。1時間52分24秒。この5kmは19分01秒と初めて19分を超えてしまった。やや、体の動きが悪くなってきてるなという感じがしてきた。あと1km少々で香椎の折り返しだ。残り10km少々、ここからがマラソンの本番だ。
腹痛が始まる・・・! 香椎の折り返しの少し前でスタート時にエールをかわした名古屋市役所の後藤さんとすれ違う。距離にして折り返し地点の200mほど前だろうか。意外と離れていないなという感じだ。 香椎の折り返し付近も応援の人が多い。福岡の北東部に位置する街だ。 30km位からだろうか、下腹部が張るようになってきた。ガスが溜まりだしたのだ。練習で試すことなく、今回ぶっつけ本番で試した「ういろう」のせいだろう。1kmほど走るたびに腹が張る。いまのところ走りに影響がない程度であるがまだあと10km、約40分ほどはこの状態が続くのだろうかと思うとちょっとキツイ。 雨はこのころから、みぞれに替わりだした。 もともと雨降りで湿度が高め、そして気温が低いので今日はこれまでに3回ほどしか給水していない。給水しなくて走れるというのは楽であるが、みぞれになってくるとは・・・。ちょっとかなわない。 35km地点の「野村ガーデンシティ向かい」が近づく。先ほど、香椎の折り返し前ですれ違った名古屋市役所の後藤さんの姿がだんだん大きくなってきた。今回も、30km過ぎの後半が課題ということか。 ジャスト35km地点で彼を抜く。 「あと7km、がんばれ!」とポーンと尻を叩く。彼にとって「あの声は神の声だった」とか。かなり精神的にきつくなったところでかけられた声で、あと7kmを頑張ろうと気持ちが切り替わったようである。「35kmであの状態では完走は危ないなぁ」と思っていたが、その後は・・・? 35kmは2時間11分47秒。この5kmは19分23秒。32kmから34kmの間が今日のコースの中で最大の向かい風だったこともありタイムは落ちている。体もややきつくはなっているが、それよりも何よりも、先ほどから続く下腹部の張りによる腹痛の方が堪える。 38kmの千鳥橋を再び渡る頃には、明らかにペースが落ちていることがわかってきた。こうなってくると腹痛のことが頭から離れない。みぞれも強くなってきた。 39km手前の築港本町交差点を今度は直進(西進)する。この悪天候でも沿道に出てきて応援をしてくれるとはありがたい。 40kmの福岡銀行協会前を通過。2時間32分26秒。この5kmは急激にペースが落ちて20分39秒。ついに20分台に突入してしまった。今日の2時間40分切りは絶望的だ。
競技場までは腹痛との戦いだった! とにかく腹痛が治まらない。本来の走りの部分でペースダウンするならまだしも、他の要因でペースダウンではかなわない。ういろうのせいだろうが、雨で腹が冷えたことも加わって腹の調子がとにかく悪い。みぞれもさらに強まっている。3年ぶりのフルマラソンは、まさに試練になってしまった。 40.5km地点の浜の町公園前交差点を左折。このあたりは水たまりも出来ている。体調も悪くなってきたが、道路も走りづらい状況だ。明らかにペースダウンしているので、今度は後続から抜いていく選手が増えてきた。腹に力が入らないと力が出ない。 41kmの平和台交差点を右折。いよいよ最後の1km。平和台陸上競技場の北側のお堀沿いに出る。「あと少しだー!頑張れー!」みぞれに加わって、雷鳴も轟きだした。すごい天候! とにかく3年ぶりのフルマラソン完走まであと少しだ。大手門交差点を左折して緩い坂を登る。
完走しました!
マラソンの怖いところに、当日のペース配分や天候など練習以外のいろんな条件が絡んでタイムに反映されるというところがある。だから、練習はうまくいっても3年間のフルマラソンのブランクで、「本当に完走できるのだろうか?、途中でいろいろなアクシデントが発生しないか?」と絶えず不安に陥りながらも40kmを過ぎたころから、「完走」については確信した。 ただし、30kmあたりから続く下腹部の痛みは、さらに勢いを増し、いよいよやばくなってきた。早く競技場に戻ってトイレに駆け込みたい心境だった。 ゲートをくぐってさらに競技場を約1周と150m走る。時計は2時間40分を越えている。トコトコ走りながらとにかくゴールを目指す。下腹部に力を入れないように走るので力が出ない。 午後2時51分57秒。スタートしてから2時間41分57秒でゴールする。 最後は、情けない状況になりながらも何とかゴールすることが出来たら、反省はいろいろあるが、43歳でもまだまだいけるという感触はつかめた。 控え室に戻って着替えているとしばらくして、名古屋市役所の後藤さんが帰ってきた。「なんとか完走できました!」とやや複雑な顔。「ホント?」35km地点での様子では、完走がかなり危うい状況だったにもかかわらず彼も頑張り通したのだ。タイムはともあれ、まずは完走。その気力が彼にとっては収穫だったのではなかろうか。 大会前後に応援・激励していたみなさん、ありがとうございました。びしっとした、レースではなかったものの悪天候の中、完走して参りました(参加者数 348名、完走者数 234名、途中棄権 114名)。次のレースでは、ちょっと冒険しながら、2時間40分切りを目指してきたいと思います。 |