神栖市第21回波崎トライアスロン大会 参戦記
●大会名 神栖市第21回波崎トライアスロン大会
●開催日 平成19年9月9日(日) 9時10分スタート
●コース 波崎新漁港発着(茨城県神栖市 → 地図
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●大会要項
/プログラム

大会要項(クリックで拡大)

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●天 候 くもり、気温 27℃、水温 24℃(午前9時現在)
●参加賞 ポロシャツ、ヒゲタしょうゆのギフトセット(3本詰め)、ヒゲタしょうゆ(本膳)、有機野菜を使ったポタージュ(パック)、ピーマン袋詰め(波崎特産)、パワーバー、マクドナルドフライドポテト券(茨城県内のみ使用可のもの)、ウィグライトプロWGH(サンプル)
●結 果 1時間05分07秒(総合第6位、男子総合第5位入賞)
  
Swim 0.75km 14分33秒 25位
Bike 20km 32分23秒 3位
Run 5km 18分11秒 1位
25.75km 1時間05分07秒 6位
●表 彰 メロン1玉、巨峰2kg、ニューバランスタオル、パワーバー1本
●過去の戦績 第5回大会(H3.9.8)  欠場
●交通手段等
【9月8日(土)/1日目】
徒歩 自宅 6:30 自由ヶ丘駅 6:40
地下鉄 自由ヶ丘 6:46 金山 7:10
JR 金山 7:21 浜松 8:40 (新快速)
浜松 8:44 熱海 11:08 (普通)
熱海 11:14 大船 12:24 (普通)
大船 12:33 成田 14:32 (快速エアポート成田)
成田 14:49 銚子 16:09 (普通)
徒歩 銚子駅 16:09 ホテル 16:30 (チェックイン/自転車組立)
以下 @レンタカー手続きAコース下見 をしてホテルへ戻る。(宿泊)
【9月9日(日)/2日目】
自動車 ホテル 7:30 会場 7:45 (レンタカー)
【9時10分スタート 神栖市第21回波崎トライアスロン大会 1時間05分07秒】
自動車 会場 13:50 ゆーぽーとはさき 15:00 (自転車分解/入浴)
ゆーぽーとはさき 16:00 銚子駅 17:20 (給油/夕食/レンタカー返却)
JR 銚子 18:29 成田 19:50 (普通)
成田 20:20 東京 21:31 (普通
東京 23:10 金山 6:03 (ムーンライトながら)
【9月10日(月)/3日目】
地下鉄 金山 6:11 自由ヶ丘 6:35
徒歩 自由ヶ丘駅 6:35 自宅 6:50
●費用
参加料 15,000円  
宿泊料 5,000円 (ビジネスホテル中央/銚子市)
地下鉄 520円 (自由ヶ丘〜金山/往復)
JR 7,800円 (青春18きっぷ 3日分/金券ショップで購入)
グリーン車 750円 (大船〜成田/快速エアポート成田)
レンタカー 7,180円 (駅レンタカー/24時間/三菱コルト)
燃料 668円 (4.7リットル/@142円/リットル)
指定席 760円 (ムーンライトながら/東京〜豊橋)
入浴料 500円 (ゆ〜ぽ〜と はさき)
合 計 38,178円  
●種目及び参加者(申込人数、★は加藤が参加した部門
タイプ 距離 申込者 スタート時間
 オリンピック Swim1.5km/Bike40km/Run10km 445名 10時00分から
時差スタート
★ショート Swim0.75km/Bike20km/Run5km 127名 9時10分
 リレー Swim1.5km+Bike40km+Run10km 39組 9時10分
●上位成績(各部門上位6位まで)
 
【オリンピック】
総合男子 総合女子
田村 嘉規 38 茨城県 1:59:40 阿部 絵美 22 神奈川県 2:16:06
中込 英夫 40 神奈川県 2:00:37 新倉 薫 32 東京都 2:23:37
中島 秀明 27 神奈川県 2:05:10 新屋 瑛里 19 京都府 2:23:55
大谷 淳 45 埼玉県 2:05:46 荒川 奈緒子 22 千葉県 2:24:14
前川 孝文 21 愛知県 2:06:21 佐野 香保里 28 東京都 2:29:24
鬼澤 秀和 31 茨城県 2:06:24 相良 美沙 30 東京都 2:29:28
【ショート】
総合男子 総合女子
豊田修司 40 茨城県 1:03:03 高橋 侑子 16 東京都 1:04:51
松下 昌平 22 東京都 1:03:31 村尾 仁美 19 埼玉県 1:11:16
石塚 忠久 35 茨城県 1:04:14 磯田 有希 23 千葉県 1:18:36
本間 俊行 35 東京都 1:04:46 安藤 由佳里 21 神栖市 1:20:04
加藤 一郎 45 愛知県 1:05:07 関 美華 38 茨城県 1:21:41
井上 孝夫 37 千葉県 1:05:18 新 かほり 29 千葉県 1:24:02
【リレー】
スター チャイルド 2:01:55
大東魂! 2:03:56
オッティモ!オッティモ!オッティモ! 2:04:57
太一の後は大変だぁ! 2:06:33
全日空商事ストイック 2:06:35
ゆうし戦闘モード隊 2:08:18

2年ぶりのトライアスロンへ


写真はオリンピックタイプでゴールする選手
 昨年は、走友会からの誘いで、夏のトライアスロンシーズンにもかかわらず富士登山駅伝競走のメンバーに加わることにし、トライアスロンを休止した。

 富士登山駅伝競走は、比較的平坦なコースを走る駅伝と違い、コースがコースなだけに体を相当特化して臨んでいく必要がある。
 昨年の、私の参加した経験からすると、この駅伝で一番差が付く「登り」の走り方を短期間でマスター若しくは無意識のうちにマスターできていれば、その「特化」も比較的」スムースに行くであろうが、凡人の私としては非常に手こずった。いや、正確にいえば今の時点でも何らマスターできていないかもしれない。凡人でも年間通じて練習すれば、それなりに得られるものもあるかもしれない。

 しかしながら昨年参加してみたて感じたが、走友会の面々には申し訳ないが、約20年間トライアスリート&ランナーとして活動してきた私にとっては、富士登山駅伝とトライアスロンを天秤にかければ、トライアスロンの方がやはり魅力的であると映ったのだった(もちろん富士登山駅伝競走は、それなりに楽しかったですけれど・・・)。この辺りは、個人的な嗜好であるので理解していただきたいと思う。

 さて、このサマーシーズンの過ごし方を明確にしておかなかったせいで(自業自得?)、トライアスロンの練習開始も遅れることになる。そうなると、出場する大会の選定も遅れる。8月末〜9月の大会に的を絞って大会を選定するが、7月の時点で既に申込が〆切られている大会も数多い。
 家族旅行、学童保育所の行事・会議、子ども会の行事、妻の試験日(社会保険労務士)などなるべく外すようにすると、自ずと出場できる大会は制限をされる。
 また、今シーズンの練習量からパフォーマンスが発揮できる大会、(なるべく)出場したことのない大会という枠まで当てはめると、出場できる大会の幅がどんどん狭まってくる。思うがままに出かけていた独身時代とは雲泥の差だ。

 こうした諸条件を勘案して、ようやく決定したのが「神栖市第21回波崎トライアスロン」だったのである。

経費節減 − 輪行の旅

大船〜成田間は、ちょっと奮発してグリーン車でくつろぎました。
 トライアスロンに限らずマラソン大会も含め、年間数回は必ず遠征する。
 遠出する際には旅費も馬鹿にならない額になる。自分の参加したい大会を、闇雲に大会を「選択」しているわけでもなく、当然旅費のことも考慮している。
 その大会を選ぶ際のポイントのひとつとして、公共交通機関での利便性がある。公共交通機関を利用した場合には、当然であるが、JR等の駅から会場までが近いことがあげられる。駅から遠ければアクセスの関係で、徒歩範囲から遠ざかってしまう。
 また、名古屋・大阪・東京などから夜行バスが向かう地方都市もアクセスとしてはよろしい。バス+若干の鉄道での移動は当然許容範囲だ。

 今回は、茨城県神栖市までの遠征なので、どういう形にすれば旅費が一番安くあがるか次の3つの方法で検討した。いや正確にいえば検討するまでもなかったが・・・。
  (1)自動車(高速道路利用)
  (2)JR(名古屋→銚子 新幹線+特急)
  (3)その他

 とはいうもののHPでこのことを取り上げるからには、いい加減なこともいえない。実際にいくらかかるか調べてみたところ下記のとおりの旅費がかかることがわかった(宿泊費は共通のため除く。)。
  (1)自動車(高速道路利用)の場合
高速料金 東名/名古屋〜東京 7,100円
首都高速/東京〜一之江 700円
京葉道路/一之江〜武石 200円
南関東/宮野木JCT〜潮来 1,900円
燃料 距離:470km
燃費:10km/リットル
燃料単価:142円/リットル
6.674円
片道(合計) 16,574円
往復(合計) 33,148円
  (2)JR(名古屋→銚子 新幹線+特急)の場合
地下鉄 自由ヶ丘〜名古屋 260円
JR 名古屋〜銚子(乗車券) 7,670円
名古屋〜東京(のぞみ・指定) 4,690円
東京〜銚子(しおさい・指定) 1,410円
片道(合計) 14,030円
レンタカー(概算) 6,000円
往復(合計) 34,060円
  (3)その他
地下鉄 自由ヶ丘〜金山 260円
JR 青春18きっぷ/3日分 7,800円
大船〜成田(グリーン車) 750円
東京〜豊橋(ムーンライトながら・指定) 760円
レンタカー(概算) 6,000円
往復(合計) 15,830円
 

今回の遠征に使用した「青春18きっぷ」。金券ショップで3回分残りを7800円で購入。使用期限が9月10日までのためギリギリセーフ。発行駅が「門真」なので、最初に購入した人は大阪の人のようだ。

 無理難題であるが1万円程度にならないか・・・?(これはちょっと無理だった)

 ここまでくれば勘のいい方なら既にお分かりであると思うが、「青春18きっぷ」という夏休み、冬休みなどの長期休みの間のみ使用できる特ダネキップがある。
 所定の期間内に5回分(5日分)、JRの普通・快速の列車が乗り放題というもの。細かいルールについては省くが、とにかく普通列車を乗り継いでいく必要がある。

 とりあえず普通・快速を乗り継いでその日の、まあ明るいうちにたどり着けば十分利用価値はある。そして調べてみたところ、往きは何とか夕方までにたどり着くことが出来ることがわかった。帰りは、東京から「ムーンライトながら(東京発大垣行き夜行列車)」を使えばいい。あとは、必要な3日分の「青春18きっぷ」を入手するだけだ。

 こうして、無理なく何とかたどり着くことができるとわかったので、貧乏・輪行(自転車をばらして梱包して列車などに乗せて移動すること)旅行にて遠征することにしたのであった。学生みたい?やることだけは若いつもりですが・・・。

波崎ってどこ?
 大会名の最初に「神栖(かみす)市」が付いている。
 神栖市とは茨城県の南東端に位置する町だ。もう少しわかりやすくいえば、利根川を挟んで千葉県銚子市のすぐ北に位置する街だ。房総半島の東端の犬吠埼(いぬぼうざき)を目指して地図を探すとわかりやすいと思う。


利根川にかかる銚子大橋(延長1450m:昭和37年供用開始)。銚子市と神栖市を結ぶ重要な橋だ。大会当日の朝撮影したが、前々日の台風9号の影響で利根川の水位は異常に高く、河口にもかかわらず流れが速かった。
 神栖市は、平成17年8月1日に鹿島郡神栖町と波崎(はさき)町が合併して誕生した人口約9万人の街だ。鹿島アントラーズの本拠地「茨城県立カシマサッカースタジアム」は、神栖市の北に隣接する鹿嶋市にある。

 旧神栖町、波崎町は漁業・農業を中心とした町であったが、昭和30年代から始まった鹿島地区の開発により、鉄鋼・石油を中心としたコンビナートの街に替わっている。
 私ごとであるが、昨年9月にこの神栖市での行われた会議に参加。翌日の事業所の視察では、旧波崎町の「住友金属工業椛麹技術研究所 波崎研究センター」を訪れている。

 コンビナート地域として著しく発展したこの旧神栖町・波崎町であるであるが、このうち波崎町はWikipediaには次のように説明されている。
 「旧波崎町地区は東京から比較的近く、太平洋に面し夏涼しく冬温暖な気候であることからアウトドアスポーツを観光の中心に据えており、海水浴(波崎海水浴場は環境省の「快水浴場百選」に選定されている)、マリンスポーツからサッカー、テニス、トライアスロンにいたるまで幅広いスポーツが楽しめる。特に民間のサッカーグラウンドは70面以上有しており、サッカー合宿のメッカとして全国的に有名である。」
 今年で第21回を数えるこの大会であるが、もともとこの旧波崎町始まった理由はこの辺りにあるのかもしれない。

由緒ある波崎トライアスロン
 少しトライアスロンの歴史について述べさせていただく。
 トライアスロンは、1974年(昭和49年)に米国・サンディエゴで「ラン→バイク→スイム」の順で行われた競技が最初であるといわれている。
 ただし、トライアスロンが脚光を浴びるきっかけとなったのは、ハワイの海兵隊員達が酒の席で、ハワイで行われている「ホノルルマラソン(42.195km)、遠泳(3.9km)、ハワイ島一周のサイクルロードレース(180.2km)のどれが最も過酷か」との議論がなされ、「競技特性が全て違うのだから比較のしようがなく、この際まとめてやってみよう」という事で考え出され3種目を連続して行う競技として、1978年(昭和53年)に、アイアンマン・トライアスロンが行われことによる。

 そして遅れること3年。
 日本でトライアスロンの発祥は、1981年(昭和56年)に鳥取県米子市の皆生(かいけ)温泉で開催された「皆生トライアスロン」だ。こちらは今年で第27回を数える老舗中の老舗の大会だ。第1回大会の優勝者は同時に手をつないでゴールしたため2人いるが、そのうちの一人がフォークシンガーの高石ともやさんであることは有名な話しである。私も10年前の1997年(平成9年)の第17回大会(総合43位。自転車のパンクで泣かされた)に参加している。

 波崎トライアスロンも昭和62年に第1回大会が開催されているので、大会としては老舗に分類される。私が、この波崎トライアスロンに最初に参戦しようと思ったのは、今から遡ること16年前の平成3年の第5回だ。

 当時の波崎トライアスロンは、大会名の前に「全日本選手権」の冠が付き、アイアンマン・トライアスロンの概ね半分の距離(スイム2km、バイク90km、ラン21km)で行われ、ミドルタイプの日本ナンバーワンを決める大会としての位置づけであった。

 当時私も29歳で、非常に血の気の多かった年頃で、大会の上位に入って一旗揚げようと企んでいたのであったが、この「平成3年」という年は、私の競技生活のなかでもトライアスロンからマラソン、トラック競技まで併せて年間でエントリー数「40」とおそるべく体を酷使していた年で、故障こそしなかったものの8月末には慢性疲労気味で体調を崩していた。体調を一旦立て直すために、エントリーしていたこの「全日本選手権波崎トライアスロン」の参加をキャンセル。泣く泣く欠場した思い出がある。

 あれから16年。
 日本トライアスロン協会(JTA)が全日本選手権と銘打っていたこの大会も、日本トライアスロン連盟(JTF)との国内窓口の一本化の影響を受け日本トライアスロン連合(JTU)が1994年(平成5年)4月設立されたため、この大会から「全日本選手権」の文字が消えた。

 「波崎トライアスロン」が日本のトップクラスが集う大会で無くなったことはオールドファンにとっては寂しいことであるが、自治体が経費削減などで開催を休止する大会が増えていくなかで、第21回を数えるこの大会が今回も開催されたことを考えれば、21年という継続開催は、たいへん称賛できるものであるといえると思う。

大会会場へ
 早朝5時過ぎに起床。前日の天気予報では曇と言っていたが、どうやら霧が立ちこめている。
 ホテルの下のセブンイレブンで、おにぎりや味噌汁を購入して朝食とする。今回泊まったビジネスホテルは、1階がコンビニ、2階が塾、3階が宿泊施設というように、ひとつの建物を有効?に利用しているちょっと変わり種だ。地方らしい生き方かもしれない。

 7時半頃にビジネスホテルを出発して会場へ向かう。
 昨日も渡った銚子大橋(延長1,450m)を超える。ここを超えると茨城県だ。利根川の水は昨日に比べると少しだけであるが、水かさが減っている。川縁に住んでいる人たちも一安心だろう。
 会場駐車場に着くと、受付前にもかかわらずたくさんの車が既に駐車している。大半は関東近県のナンバーだ。なるべくスタート地点に近いところに車を停める。昨日・今日と2日間レンタカーとして借りたのは三菱コルト。軽自動車で十分であったのだけれども、予約した時点で出払っているとか。自転車が乗れば十分だ。贅沢は言えない。

 早速自転車を組立て準備をする。
 トライアスロンの競技人口が増えないといわれて久しいが、こおに駐車している車の数だけみれば、全くそんなようには見えない。さすがに人口の多い関東地区だ。

 受付は8時から波崎漁港の市場の屋根の下で受付は行われた。この大会は前日受付がなく、すべて当日受付。日帰りの選手を多く受け入れるための手段だろう。
 受付でスイムキャップなどを受け取り、ナンバーリングをする。体にナンバーを書くのはいろんなスポーツのうちで恐らくトライアスロンだけであろう。昔はこの瞬間に緊張を覚えたが、今日は心地よく感じる。

 いったん車に戻り、ナンバーカードをユニフォームの前後、ヘルメット(右・前)、バイクの側面(右)につける。何年たってもこの手順は変わらない。いよいよ2年ぶりのスタートが近くなってくる。ドキドキするような緊張感もないし、地元外でのレースなので気分的には非常に楽だ。練習は十分にできたとはいいがたいが、ここまで来たらリラックスして臨むだけだ。

スイム

スイムスタートはフローティングスタート。スイムフィニッシュはこのスロープをあがってくる。
 ショートの部(スイム750m、バイク20km、ラン5km)のスタートは9時10分。3人でひと種目ずつリレーするリレーの部(スイム1500m、バイク40km、ラン10km)と同時スタートだ。
 事前の気象状況発表で、「水温16℃」とアナウンスがされていて一時は焦ったが、その後「水温24℃」と訂正され一安心。いくら一昨日の台風の影響とはいえ水温が20℃を下回ることは滅多にないことだ。
 この大会のスイムコースは、波崎漁港内を右回りに四角く750m泳ぐコースだ。漁港内を使っているので、太平洋に面しているとはいえ波もなく泳ぎやすいコースである。
 しかしながら浜辺が無いため、スタートは一斉のフローティングスタートだ。
 朝方、霧が出ていた空もすっかり日差しが強くなってきている。トライアスロンにはやはり太陽がよく似合う。

 9時10分、神栖市長のフォーンの合図で一斉にスタートを切る。
 わたしはといえば、バトルを避けるためにやや外側からスタートする。水温は冷たすぎず、温かくもなくちょうど良い温度だ。
 最初のコーナーまで約200m程度であろうか、ややハイペースで泳いでいく。しかしながら練習不足のツケがすぐにやってくる。腕の張りがすぐにでてきた。体が弱ると気力も失われていくというが、最初の種目からこうであってはいけない。何とか回復するのを待ちながら頑張る。「たった750mだ!」と自分に言い聞かせながら我慢する。たがだか15分くらいの時間が以上に長く感じる。
 スタートから14分過ぎにあがってきたときには、既に30人近くが先にスイムフィニッシュしていた。「これから、これから・・・」本当に大丈夫?
波崎漁港の特設コースを泳ぐ選手たち(写真は「オリンピック」タイプの選手たち

バイクで巻き返し開始
 今に始まったことではないけれど、本当にスイムで出遅れる。
 ここから挽回する楽しみがあるといえば聞こえが良いが、スイムの速い連中からすれば負け犬の遠吠えにしか聞こえない(かもしれない)。
 今回はこのバイクコースが平坦ということを利用して、ペダルを平地仕様に変更してきた。
 といっても、ビンディングペダルを利用せずにランニングシューズで乗るために、ちょっとギザギザの付いているペダルに換えただけ。平地では、引き足をあまり利用しないので、トランジットタイムを縮めるための作戦である。特に通常のオリンピックディスタンスの半分のスプリント競技である今日のタイプは、最後の1秒2秒で勝負がつくことも十分あり得る。


バイクの折り返し地点(ゴール付近)
 バイクコースは、防風林の間を走る片道5kmの往復コースだ。私の出場した「ショート」タイプは、ここを2往復する。

 スイム→バイクのトランジットで2〜3人ほどを抜いていく。トランジットもトライアスロンの4種目目といわれているほど重要なものだ。
 バイクの乗り出しも比較的スムースに行く。前を走る選手がポツリポツリとみえる。何人ほど前にいるかわからないが、焦らず一人ずつ拾っていくだけだ。
 北上しているときはやや追い風なのかアベレージで43km/h程度で進む。最初の片道で数人を抜いていく。折り返し地点で15番目であることを確認しUターンする。今日の目標の入賞圏内(6位)にはまだ10人ほど前にいることになる。

 折り返し、南下しだすと今度はやや向かい風。スピードがダウンする。姿勢を低くし、ぐっとこらえながら前を目指す。アップダウンの激しいコースでは、こうも簡単には走れないだろうが、このコースは練習不足の選手でも何とか誤魔化しながらも走れるコースだ。

 15分少々でバイクスタートに戻ってきた。Uターンして2周回目に進む。
 1周回目に少々飛ばしすぎたせいか、2周回目は先ほどのようにスピードが上がってこない。とはいえ、後ろから抜いてくる選手もなく、前を走る選手を捉えていくだけであるが、リレ−の選手やスイムで出遅れた選手が2周目になると混在して、自分の位置がわからなくなった。

最後のランへ

バイク→ランへ出て行く選手たち
 20kmを約31分ほどで戻ってきてランに進む。
 このバイク→ランのトランジットでも2人ほど抜いて行く。今の順位は12番くらい?

 ランコースは、波崎漁港の突端までいったん走ってから、その後は団地内を櫛形に走るコースで、先頭とは何度もすれ違う。それだけに自分の位置を知るにはわかりやすいコースであるし、後方からの追い上げについても確認しやすい。
 バイクが終了した時点で、自分の視界(100mほど)に4人ほど入る。比較的元気そうな選手もいれば、息も絶え絶えの選手もいる。

 突端に向かっている途中で、既に突端から折り返してくる選手とすれ違う。たぶん先頭だろう。どう見ても400m以上の差がある。5kmで先頭までに追いつくのは少し難しそうだ。とりあえず、目の前の4人から順に料理をしていかなければならない。
 前を走る4人も少しずつ近づいていくと、勢いの差に違いがあることがよく分かる。突端あたりで無抵抗に抜かれる選手もいれば、自分と同じように、たぶんランを得意種目としている選手もいる。

 2kmほどを走った頃には4人全員を抜き去り、またポツリポツリと走る選手が前に見えてきた。
 前を走る選手の一人には、先日のジュニアの世界選手権日本代表の高橋侑子さん(16)もいるようだ。「ちょっとあそこまでは厳しい?」 そうは思いながらも、残り少ないところ追い込んでいくしかない。

 ランも前半にややハイペースで入ったせいか、後半に苦しくなってきた。
 残り約500mで順位は総合6位。守りにはいるつもりはないが、前の選手とは100mほど開きがありゴールまでの逆転は難しい。後方には、前半で抜いたランの得意そうな選手がしぶとくついてくる。

 1時間5分過ぎ。2年ぶりのトライアスロンは終わった。女子のジュニア日本代表が前に一人いるものの、総合第6位、男子総合第5位で、当初の目標は何とかクリアした。

 30歳代から40歳代前半のトライアスロンは、いつも追われる立場のトライアスロン。
 終わってみてホットしたという繰り返しで、楽しんでいるというよりも毎回後ろからの追い上げをかわしていたというもので、結構辛い時もあったが、今回は2年ぶりのトライアスロン。完全にチャレンジャーという立場で失うものもなく楽しくできたような気がする。トライアスロンの原点に立ち返ることができた空白の2年間だったかもしれない。

番外編−つみれ汁
 波崎は鰯(いわし)の漁獲高が日本で2番目だそうだ。
 それだけに、会場の脇では選手たちにくばるための「つみれ汁」を朝から用意していた。鰯は小骨が多くちょっと苦手であるが、鰯をすりつぶし団子にしたつみれ汁は結構イケる!3杯ほどいただいた。「波崎=いわし」もインプットしておきたいところだ。

朝からこの大鍋でつみれ汁を・・・

これがつみれ汁。鰯のだんごが下に隠れています