第39回 伊豆大島椿まつりカメリアマラソン 参戦記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
19年ぶりの伊豆大島 冒頭にも述べたが、今回で伊豆大島に渡るのは4回目となる。 1回目は私が2〜3歳の頃だろうか。父母に連れられて、三原山付近で馬に乗った写真(もちろん白黒)がある。恐らく昭和40年頃のことだと思われる。 2回目は平成2年11月〜12月にかけて東京に一ヶ月ほど研修に来ていた時期があり、週末を利用して「伊豆大島パブリックマラソン(30kmロードレース)」に出場。この時は30kmという未知の距離でハンガーノックを起こしてけちょんけちょんでゴールした。(当時28歳) 3回目はその翌年の平成3年6月に「全日本ショートトライアスロン選手権大会」に出場。6月の水温が20℃あるかないかの冷たい海でトライアスロンの厳しさを思い知らされた大会でもある。(当時29歳) 1回目の記憶は無いに等しいが、2回目、3回目の来島のことは未だに覚えている。元町や岡田周辺の景色など・・・。19年ぶりに訪れたが、当時の記憶が鮮明に蘇ってきた。
19年ぶりに訪れ、私自身のなかでは以前と雰囲気は変わらなかったが、私自身何度も来ている島なので、この落ち込みぶりに対しては、何とか協力してあげたいという気持ちにはなる。 バス&フェリー 伊豆大島は本土からは一番近い伊豆半島からでも約25km離れており、また橋が架かっていないので移動手段は空路か海路になる。 空路は、羽田空港からエア・ニッポンが一日2便、調布飛行場から新中央航空が1日3便(調布−大島:9,500円)就航しているが、早朝のマラソンに間に合うような時間帯では飛んでいない。 また、海路といえばJR浜松町駅から徒歩で10分ほどのところに竹芝桟橋がある。 ここからは伊豆大島を含む伊豆七島へのフェリーやジェットフォイルが就航している。以前に、伊豆大島に渡ったときもこの竹芝桟橋から、夜遅くにフェリーが出発していたが、旅費を節約するという意味もあり今回も同様に夜行フェリーで大島に渡ることとした。 名古屋から東京へのアクセスについては、新幹線が一般的であるが、運賃という面から見ればJR東海・JR関東などが共同運行している東名ライナーが一番安い。今回、ネット割引も利用したので名古屋−東京が3,880円。時間は少々かかるものの、私のようにあちこち出かける人間にとっては旅費は少しでも節約したいところだ。
伊豆大島は東京都 伊豆大島を含む伊豆諸島は「伊豆」と称するにもかかわらずなぜ東京都なのか? 伊豆大島を含む伊豆諸島は、そもそも駿河国→伊豆国に属していたが、現在は東京都に属している。 いったん静岡県に属してから東京府(当時)に移管された歴史がある。これは、江戸時代から航路が江戸の方に開けていて物的・人的交流ともに江戸がより緊密であったことが、大きな理由のようだ。 今時珍しい無料の大会 今述べたように伊豆大島は東京都に属している。その伊豆大島全域をカバーしている自治体が「大島町」だ。島内には大島町のドル箱になるような産業はない。財政的に明るくないことは容易に察することが出来る。 大島町の公式サイトで調べてみたところ、大島町の21年度の一般会計の収入は約66億7千万円。このうち町税収入は約9億9千万円。諸収入や手数料、繰越金を含めた自主財源は約18億2千万円。収入全体における自主財源の割合は、わずか27.3%だ。残りの72.7%は、東京都の支出金(34.3%)、地方交付税(13.3%)、国庫支出金(4.7%)などで構成されている。東京都の支出金と地方交付税を合わせると収入の47.6%を占めている。 伊豆大島が静岡県ではなく財政豊かな東京都に属している大きなメリットがここに見られるような気がする。 しかしこれだけ財政的に健全でない自治体が主催する大会が無料というのは珍しい。参加料を無料にするという目的がどこにあるのであろうか。島民の参加を促す目的か、それとも島外の人に来島してもらい金を落としてもらうのが目的なのか? 私は、このどちらかではなく、この両方が理由ではないかと思う。 東京都の財政が厳しくなれば、「参加料を徴収しなさい」という指示が出てくるかもしれないが、オリンピックを誘致しようとしているくらいの財源豊かな大都市・東京都だから、参加料程度のことでゴタゴタ言わないのかも知れない。 ちなみにこの大会は、私の知る限り20年前からずっと無料で続いている。 岡田港入港〜会場到着 竹芝桟橋から乗った夜行フェリー・かめりあ丸は、多くのランナーを乗せて午前6時前に伊豆大島北部の岡田港に入港した。まだ夜明け前で薄暗い。 伊豆大島には旅客を扱う港が2つある。 ひとつは今回入港した岡田港、もう一つは島の中心地・元町にある元町港だ。島中心部へのアクセスを考えると元町港の方が利便性が高い。 しかしながら元町港は島の西側に位置し、岡田港のように天然の入江ではないため、北または西の風が強く吹くときには接岸が困難なために入出港が出来ない。冬期の大半は、フェリー、ジェットフォイルともに今日のように岡田港に入港する。 数日前から東海汽船のサイトで伊豆大島の入出港状態を見ていたが、一便たりとも元町港に入港していなかった。 さて、話を戻す。 船から下船した乗客たちのうち、レンタカーを手配した人、家族が迎えに来ている人たちを除けば多くの乗客は、岡田港待合室そばに停まっている元町方面行きの臨時バスに乗り込む。ランナーらしき恰好をした人たちは、みなこのバスに乗り込んでいく。 バスは岡田港を出発し、かなりの急坂を登りさらにトンネルを抜け、大島一周道路を反時計回りにまわり走っていく。途中にある大島健康センター前が10kmの部の折り返し地点。バスの中からコースの下見をさせてもらう。 しかしながらこの風景、よーく見ると見覚えがある。平成3年に出場した全日本選手権大会のバイクコースと同じではないか。斜度が数%の下り坂を元町の方に向かって降りていく。急カーブもほとんど無く、自転車にとっては非常に高速走行が出来るコースでもある。 岡田港を出発したバスは15分ほどで元町にある大島町役場前に到着した。 受付会場の大島町総合開発センターは、バス停のちょうど真ん前。ここの2階が受付会場&選手の控室となる。大会要項の受付時間は午前7時30分となっていたが、早朝から出勤している大島町役場の人らしき人の計らいで、午前6時40分くらいから受付を初めてもらった。おかげで、スタート前まで自分の足で再度コースを試走する時間が出来た。ありがたや〜!
あきる野市などから招待選手 スタート前にコースの試走が出来たのは大きかった。 今大会のコースは、役場前から健康センター前を折り返す片道5kmの往復コースである。道は単純であるが、このコースを走る際に欠かせない情報が勾配だ。概ね折り返し地点に向かって登っていくのであるが、登り一辺倒ではない。フラットなところもあれば、微妙にやや下るところもある。大会当日、距離表示が往路は全くなく、復路に「あと3km」「あと2km」「あと1km」しかないため、前半はこれらの標識をチラ見しないとペース配分が掴みにくい。 さて、午前9時からの開会式においては、町長の挨拶、選手宣誓が行われたほか、友好都市提携している東京都あきる野市や江戸川区からの招待選手が紹介されていた。 「おいおい招待選手がいるの?」 一般的に招待選手とは、その地区での優勝者などランナーとしては成績優秀者であるはず。紹介の内容を聞いていると、各年代ごとにそれぞれ招待されているではないか。私の国盗りを阻む一番手がこの招待選手たちかもしれない。今回の作戦は決まり。後方待機で終盤勝負と。 前半戦−後方待機でガマン スタート5分ほど前に、役場から北へ50mほどのところにあるスタート場所へ行く。ちょうど大島元町郵便局の前あたりになる。既に多くの選手がいる。今回、プログラムの人数ベースで1,054人。マラソンブームも手伝って、恐らく過去最高の選手数ではないだろうか。 それにしても、早朝から風が強い。島だから当たり前といえばそれまでであるが、風の影響を少なくするためにも序盤は後方待機して様子を見ることにしよう。
午前9時30分。スタート場所に並んだ10kmの部の選手が一斉に飛び出す。 今日はナンバーカードが2枚支給されている。体の前面・後面ともに付けているので、後方からも選手の年代がすぐにわかる。白地のナンバーカードが10kmを走る選手。私と同じ40歳代男子の選手は、4000番台のナンバーカードになる。 走り出して1kmほど過ぎると、最初だけ勢いよく飛び出した選手が淘汰され、競技として走る選手になってくる。私は集団の中にいるが、私の前方には3人の選手がいる。3人は2000番台の選手が2名、3000番台の選手が1名。今レースで私のライバルとなる40歳代の選手は前の3人にはいない。むしろ私の属している7名ほどの集団の中には、私を含め40歳代の選手が4人いる。今日は最後までこの4人で勝負をしていかなければなさそうだ。
今回、後方待機作戦で、周りの選手の様子を見ながら走ることにしたが、序盤はペースもゆっくりでまさに私の思うとおりに事が運んでいっている。40歳代の選手が多少揺さぶりをかけて前に出たりしているが、私は無視し、じっとグループの後方に付けた。ただしこのうちの誰か一人でもペースアップしこの集団から抜け出していくのであれば、その時は付いていかなければならいと決めていたが、そういう展開もなく徐々に折り返し地点が迫ってきた。 今回、ハートレートモニターが調子が悪く心拍数を上手に表示していないので、現在の自分の心拍数はわからなかったが、体感としては余裕があることがわかる。むしろ40歳代の残りの3人の選手のうち2人は息づかいが荒くなってきており、余裕がなくなってきているのがわかった。 4kmくらいで前を走っていた20歳代の選手が吸収され、私のいる集団は3位グループとなり5kmを折り返していった。5kmの折り返しは19分29秒。いくら登り坂が続く道とはいえ、このペースは先日出場した「第59回別府大分毎日マラソン」の5kmごとのペースより遅い。後半相当ペースを上げないと、タイム的には”ちょっと”ということになる。 後半戦−爆走!
前半に体の余裕が相当あったので、今回は前半の遅れを取り戻すべく後半に相当ペースアップをして走ることにした。折り返してすぐ前を走る2人を100mほどの間に抜き去る。40歳代の選手だろうか、少しの間は後ろについてくる足音が聞こえたが、大きなストライドで走る選手なので脚にかかる負担が大きいはず。 1kmも走らないうちに、後ろからの足音が聞こえなくなった。後半の5kmは何が何でも逃げまくっていくしかない。下り坂を利用しギアチェンジ。ペースアップできる限り走っていくしかない。 前半はさほど急と感じなかったこの坂であるが、下りが連続すると脚にも徐々に負担がかかってくる。ただしブレーキをかけるほどの急勾配ではないので、ゆっくり走るには気持ちがいい勾配かもしれない。 エネオスのガソリンスタンドの前が5km部門の折り返し地点。つまり残り2.5km。ここからは5分遅れでスタートした小学校、中学校の子どもたちがまだ走っている。終盤は、この子どもたちをかき分けながら走ってきたが、最後まで前を走る2人には追いつかなかったが、最後の1kmは島の多くの人たちの声援を受けて気持ちよく走ることが出来た。 後半の5kmは16分35秒。下りが多い後半とはいえ、10kmの後半を16分35秒で走れたのは収穫だった(トータルでは36分04秒)。総合第3位、年代別優勝、同年代に49秒の差を付けて東京都の国盗りも達成することが出来た。
勝負に徹した走りだったが・・・
すごいのは、全ランナーの記録をまとめて、閉会式後にある程度の枚数を配布できるようにしているというところだ(張り出しておくだけでも十分と思うが)。表彰式の他、抽選会も閉会式の中で行われるが、いかにもこの記録集計のための時間稼ぎという感じがする。 閉会式も終わり、張り出された記録を見ていると、今回同じ年代で2位になった下井さん(小岩選抜RC)が話しかけてきた。来週は東京マラソンに出場するらしい。 私は逆に、別大マラソンが終わって、気分的にはフリー。今日はまったく違う状況で10kmを走ったのだった。下井さんは手加減してくれたのだろうか。こればかりは本人に聞いてみないとわからない。また、お会いしたらお手合わせお願いいたします。 御神火(ごじんか)温泉 大会終了後は、せっかく無料入浴券をいただいたので、その券を生かして入浴することにした。入浴は「元町浜の湯」か「御神火温泉」のいずれかだ。今回、伊豆大島での滞在時間は8時間程度。観光らしい観光が出来なかったが、この入浴も観光のひとつかもしれない。 いただいた賞品で荷物がふくれあがったので、会場から少しでも近い「元町浜の湯」の方が良かったが、こちらは内湯が無く露天風呂のみ。その露天風呂は混浴のために水着が必要になる。今回慌てて出てきたため水着を持ってくるのを忘れてしまった。ということでもう一つの御神火温泉に行くことにした。 「元町浜の湯」は噴火により高温化した水源利用し平成2年8月にオープンしたのに対して、御神火温泉は、平成11年4月にオープンしている。こちらは、温泉の他に、サウナやジャグジー、温水プール、休憩室もあり施設内にはレストランもある総合施設。 私がちょうど行った時間帯は、やはりランナーが大挙して訪れていたため、洗い場が非常に混んでおり、ちょうどその間に食事をしたが、そういう意味ではこの施設は便利であった。 温泉は、ナトリウムなどが含有された温泉と表示はあったものの、実際に入ってみるとお湯を循環しているような感じ。御神火温泉に露天風呂があるといいなあと思うが、露天風呂しかない元町浜の湯に誰もいかなくなるのであえて作らなかったのだろうか。
本日の戦利品
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