第9回大井川港トライアスロン大会 参戦記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
明るい競技説明会 今日のこの大会のスタート時間は午前11時。気温が低めの5月くらいならいざ知らず、7月開催の大会でこういう時間帯の設定は珍しい。おそらく、大井川港からの漁船の出航の関係か、大井川港内のトローリングの時間が、通常の大会のスイムスタートの午前8時くらいに行われる関係で、漁協側の了解が得られなかったことが考えられる。 スイムコースにもブイやコースロープの設営がなく、直角三角形に並べられた3隻の漁船を時計回りに2周するという設定から、おそらく私の推測は間違っていないだろう。 午前10時からの競技説明会があった。競技説明会というと割と堅苦しい感じのものが多いが、この大会の競技説明会は和やかな感じであった。「午前7時とか8時とかにスタートする大会が多いにもかかわらず、午前11時にスタートする大会などありません!」と自虐的に笑いを誘う。 気温が低い時間帯にレースをすることに越したことはないが、どの時間帯でもある程度は暑くなることは避けられないし、いろんなことを経験していく方が、アスリートとしても引き出しが増えいいことではないかと個人的にはそう思う。暑くなるのは避けようがないが、日帰り参加しやすくなるというメリットはある。 そのメリットを生かして、東京・東村山市から東村山トライアスロン連合からはバス1台を借りて15人がこの大会に遠征してきている。代表の方の説明によると午前3時起きで午前5時に出発してきたという。午前7時〜8時くらいのスタートであれば、前泊は必死。かくいう私も日帰り参加の一人である。日帰り参加で、遠方からの選手を集めいるという意味では、よくよく考えるといいかもしれない。なにせ宿泊代が浮くのであるから財布には優しい大会である。
それから競技説明会では、トライアスロンにおけるトラブルについても説明があった。こちらは協会さんが、いつもお願いしているドクターからの説明。スイムのトラブルがやはり多いという。それもスタート直後のバトルに巻き込まれると急激に心拍数が上がり、普段とは違う状態になってしまうという。私はこれまでにそういう経験をしたことがないが、加齢に伴い泳力も低下するし体力も低下していくことから自らも起きうるとして説明を注意深く聞かせていただいた。なお、このドクターは今年でこの大会の担当を外れるという。長年ノーマネーでお世話になったという感謝の気持ちを込めて花束と記念品を贈られている。 確かにトライアスロンは、暑い時間帯を中心に長時間行われるスポーツなので、トラブルが発生しやすいのは避けられない。的確な判断ができるドクターがいるというのは、主催者側としても選手側としても安心できる。 また、今大会最年長選手の紹介もあった。静岡県の遠藤さんで御年79歳。来年は80歳。どんな方かと思いきや、小柄ながらもにこやかで「制限時間の1秒前にゴールするのが目標です!」と。自分がその歳まで生きているかどうかわからないが、年々そういう歳に近づいてくると、高齢ながらも活躍されている方は凄いと思う。マラソン大会での80歳という方はそこそこいるが、トライアスロンの大会で80歳というと皆無に近いだろう。来年もこの大会に出場して完走されることを願うばかりだ。ちなみに遠藤さんは、しっかりゴールされ、70歳以上男子で2位で表彰されました。おめでとうございます。
スイム この地方では昨日大雨が降ったようで、大井川港へ大量の雨水が流れ込んで水温が下がったとのこと。主催者の発表によるとこの日の水温は23℃。思ったよりも低い、凍えるほどの水温ではないが思ったよりは低い。先週は、ロングジョンとフルウエットと両方持参したが、この日は、ロングジョンのみの持参。ウエットスーツの選択の余地がない。 10時40分頃、入水チェック地点でアンクルバンドをもらい、ウエットスーツとアンクルバンドを装着する。大井川港は、ビーチでないためスタートはフローティングスタートとなる。岸壁でウエットスーツを着るので、着用には結構手こずった。 岸壁から海へは、特設の階段を下っていくのでここで渋滞が発生している。300人ほどの選手ではあるが、一人ずつここで並んで降りていくと意外と時間がかかる。主催者からは「海に入っていなくても11時にはスタートしますよ」とアナウンス。選手の入水を促している。 スタート時間には遅れたくないが、フローティングスタートともなると、スタートの合図まで浮いていなければならないので、あまり早く行きたくもない。入水時間に迷うのも致し方ないところかもしれない。 特設の階段を降りていざ入水してみると、思ったほど冷たくはなかった。泳ぐには最適の水温といってもいいかもしれない。しかしながら、岸壁から見ていたのと同じように、スタート位置付近には多くのゴミが浮いている。ゴミの大半は水草で、昨日の大雨で大井川港へ流れ込んだのであろう。固形物もあったがこちらは「キュウリ」どうして海に浮いている? さて、今回もスイムが遅いくせに最前列に並ばせてもらう。ただし岸壁からは一番遠いところ。バトルに巻き込まれて岸壁そばを泳ぐと抜け出せなくなるので、一番大外に構えることにした。
11時ちょうどに「フォワ〜ン」という合図で一斉にスタートする。 スイムコースは岸壁に並行に泳ぎ、正面の船を右折、さらにその先の船を右折しスタート地点に戻るという直角三角形を時計回りに2周するコースだ。 スタートのバトルも今回は目立ったものはなく、比較的穏やかにスタートができた気がする。岸壁に並行に泳ぐため、岸壁からこちらの方を眺めている多くの観客がよく見える。今回はコースロープがないものの、岸壁と一定の位置を保ちながら泳げば蛇行することは避けられる。泳ぎのへたくそな私にとっては、コースロープよりありがたかった。 しかしながら、最初のブイ代わりの船を右折するときにはやはり選手が集中し、少々泳ぎにくくなった。また、次の船までの距離が短く、ここを右折するときも少々混み合った。このあたりでは、川から流れ込む水があるせいか、急激に水温が下がった感じがする。また、海水の味も辛さが少々薄くなったような感じだった。 2つの目の船を右折し、スタート地点に向かうところでは選手のコース取りにも幅ができたが、私はおそらく多くの選手を左手に見ながら泳ぐことになった。少し内側に食い込んで泳いでいたかもしれないが、ヘッドアップしてスタート位置の船を目指していたので、気分的には最短距離を泳いでいた。 スタート地点の船を右折してぐるりと2周目に入る頃には、完全に選手はばらけていた。私には非常にありがたかったが、ペースメイクして私の前を泳ぐ選手がほとんどいなく、単独泳の時間が長くなった。とはいえ、誰かの後方を泳いだ方が楽に泳げるので、とにかく後ろに付くのにちょうどいい選手を探しながら2周目を泳いだ。2周目は1周目と比べるとバトルは全く無く、さらに快適に泳ぐことができた。後はスイムアップの時間だけだった。
2周目を終えて、特設階段に戻ってくる。私の前に一人、後ろにも一人の選手がいた。私の前の選手は、まずまず上手く木製の階段を上がっていく。スイム後に階段を登っていくのは久しぶりで、少々もたついてしまった。岸壁に上がると誰かが「27分!」と時間を呼んでいる。 バイクトランジットへの入口から自分のバイクへ向かったが、私のまわりのバイクの大半はまだ残ったままであったが、ライバルの岐阜県のIさんのバイクは既になくなっていた。 Iさんとは、12月のマラソン大会で久しぶりに会ったが、そのとき以来約7ヶ月ぶりの再開。トライアスロンの大会での再開はいつ以来だろうか。朝、バイクのセッティングをしているときにIさんに会い、久しぶりに話をする。ひょうひょうとした感じだが、なかなか手強い存在だ。 こうして、50歳代になっても相変わらずIさんを後ろから追う展開になってしまったのであった。
バイク ゼッケンベルトの装着、ヘルメットの装着をしてバイクラックから自転車を急いで出して、乗車位置まで急ぎ足で歩いて移動する。乗車ラインを超えたので、そのまま惰性で乗車しようとするが今日はなぜか上手くいかない。一旦バイクを降りてバイクシューズを上に向けて再度出発する。 大井川港内のアスファルト舗装は非常に状態が悪く、舗装路面の表面が相当凸凹。海水にアスファルトの表面が浸食されたせいだろうか。選手を苦しめる。 また、兼松油槽の前の岸壁には突起物があり、主催者が路面にカバーをしてくれたものの、スピードを落とさずに走っていたので意外とハンドルを取られる。右折左折を繰り返すとようやく舗装の落ち着いた路面に出ることができた。
コースをUターンをして大井川の右岸の堤防を登り、バイクのメインコースである「大井川リバティマラソンコース」へ入る。この大会のバイクコースは、ここから約6km先までを3往復し、3往復を終えたら再び堤防を越えてバイクのスタート地点に戻るという変則的な3往復コースとなる。 バイクに乗車してから、ようやく平坦で直線路にでたので、ここできちんとバイクシューズを履くことにする。 スイムのバトルがなかった割には、私の前方を走る選手が多い。遠回りをして泳いだせいか?今日のこの大会は今年で3レース目となるが、参加者が一番多いので私のスイム順位は相対的に順位が下がることになるため、結果として前を走る選手が多いのであろう。 序盤は、大井川リバティに入ってから前を走る選手をどんどんパスしていく。少しずつ順位が上がっていく感じがよくわかるが、スイムの出遅れがあるのでとにかく前を追っていかなければならない。 この大井川リバティは路面が良く、トライアスロンをするバイクコースとしては非常に良い路面だと思う。一般車両が入ってこないので、路面が荒れないということもある。 大井川リバティに入って、すぐに県道31号線にかかる大平橋に下をくぐる。河川敷にある全天候型の大井川陸上競技場を右手に見て、さらに国道150号線にかかる富士見橋、東名高速の大井川橋をくぐると右手に日清食品の工場が見えてくる。この川沿いには、地下水を利用した工場が多く建てられている。この先は、東海道新幹線の大井川にかかる鉄橋があるはずであるが、この手前で折り返しをすることとなった。 対向してくる選手の数を数えていたが、ちょうど折り返した時点で50位だった。あれだけ抜いてきたにもかかわらず50位ということは、スイムが気持ちよく泳げた割に順位は大したことがなかったということになる。少々がっかりしたが、ここで順位が確定するわけではない。 若い頃は、高い心拍数を保ちながら、バイクパートで追い上げられるだけ追い上げていったものだった。しかしながらここ2大会はといえば、序盤はハイペースでバイクパートに入ったものの、しばらくすると脚の張りが出てくるためにペースがどうしても落ち気味になってしまう。加齢のせいか、それとも練習不足のせいか、それとも別の要因があるのかわからないが、現時点ではバイクで大きく順位を上げていくだけのレベルに達していないのは事実だった。 そうなると、どうしても他の選手と大きなスピード差がなくなってしまうので、ドラフティングがちになってしまう。時々、オートバイに乗ったマーシャルがパトロールにやってくるが、つまらないことでペナルティを受けたくないので、前のバイクと3車間ほどの距離を開けながら走る。 後半、4台ほどバイクが固まってきたところで、オートバイのマーシャルがクラクションを鳴らして警告を発していった。露骨にドラフティングを繰り返している選手もいるので、たまには取り締まりをきちんとしてもいいのではないか・・・。 さて、大井川リバティを3往復したので、周回を終えてスタート地点へ戻っていく。 ここから先は、コーナーが多く、また路面の悪いところが続くので、ペースを抑え気味にして、またランへの脚の切り替えの準備をする。若い頃は、どこまで追い上げられたか順位が気になっていたが、今回は無事にトラブルもなくバイクを終え、ランに向かうことができそうでホットした。 まもなく降車ラインの白線が見えてきた。バイクから降りる準備のために、両足共にバイクシューズを脱ぎ、シューズの上に裸足の足をのせていた。ギリギリのところでバイクを降り、バイクラックへ向かう。 しかしながらこの日の降車場所からバイクラックまでの舗装路は、舗装状態が非常に悪く、バイクを押しながらバイクラックへ向かうまでの20〜30mは、砂利の上を歩いているような感じで、足裏にはかなりの痛みが走った。「いてて・・・」という感じ。この大会に限っていえば、バイクの降車場所からバイクラックまでは、バイクシューズのままで歩いて行った方がいいかもしれない。
ラン バイクでの順位アップが思ったほどではなかった。生命線のランで順位を押し上げるべくしてスタートをしていく。今回のバイクコースは平坦であったので脚にかかる負担が少なく、ランに入っても脚が重く感じるようなことはなかった。 バイクトランジットを出て、すぐさま左折し20m前方の大きな赤色のカラーコーンをUターン(第1折り返し)してランコースに入っていく。ランコースは、大井川港南側の突端に向かい周辺道路を走るコースで、片道約2.5kmを2往復する平坦なコースだ。ただし、太陽を遮るものが無いので、今日のような日には容赦なく強い日差しが選手を襲う。 今日の目標は総合20位以内ではあるが、それ以前に朝会ったライバル岐阜県のIさんとの差を詰め、何とか逆転しなければならない。バイクが終わった時点では、やはりIさんのバイクが先に置いてあり、バイクパート終了時点においても、まだIさんの方が先行していることになる。Iさんもランが得意な選手なので、なかなか差を詰め追い抜いていくのは容易ではない。とはいえ、勝負の世界では何があるかわからないので、最後まで諦めずとりあえずIさんに追いつくことを目標に前を向いて走ることにする。
ランコースは、スタート直後の最初の折り返し(第1折り返し)以降は岸壁沿いに走るが、第1折り返しから約600mほどで海からやや離れ一般公道に向かう。 ここで待ち構えていたのが、バケツや柄杓(ひしゃく)、ホースを持ってやってくる選手に次々と水をかける部隊。大会事務局の計らいなのか、私設のものかはわからないが、バケツで全身に水をかけられると、体温が一気に降下し気持ちがよく「ウォオー!」と走りに気合いが入る。シューズが濡れると嫌う人もいるが、私はまったくお構いなし。大きな声で「ありがとうございます!」とお礼を言って脚を進める。 水をかけられたところから約100m先を左折して、2車線の道路に入る。既に第2折り返しを戻ってきている選手ともちらほらすれ違う。こちらはラン・スタートして1kmと走っていないはずなので、その差に少々がっかりする。7年のブランクのせいか、それとも加齢のせいか。どうしてもそういうことを考えてしまいがちだ。 左折してからは直線が800mほど続くので、対向してくる選手がよく見える。ここまで来たら順位を数えても仕方がないので、脚を前に進めることだけに集中する。 道路が左にカーブしだした先に、エイドステーションがあった。まだ余力があるので走りながら紙コップを2つほど取り、一つは飲み干しもう一つは頭からかぶる。先ほどのバケツの水に比べれば冷却効果は薄いものの、体温の上昇を続ける体を少しでも冷やさなければならない。 このカーブが終わると、再び直線路が始まるが、そこで第2折り返しから戻ってくる岐阜県のIさんとすれ違う。声をかけるが彼も必死のようで気がつかない。Iさんとすれ違ってから第2折り返しまでの時間を計ったが40秒ほど要していた。単純に2倍すればIさんとの差は80秒。10kmを40分と仮定すれば、1kmが4分(240秒)。概ねこの1/3なので330mほど離れていることになる。序盤の2.5kmではあるが、Iさんと走力に差があまりないので、この80秒の差は少々厳しく感じる。とにかく前を向いて走るしかない。第2折り返しから再び第1折り返しに向かうところで、できる範囲でペースアップを試みた。 第二折り返しから、再び岸壁付近まで戻ってくると、対向する選手の数が一気に増える。ゴールデンタイムの選手たちだろうか。 バイクラックの少し手前で、Iさんと二度目のすれ違い。Iさんは「加藤さん。もっとゆっくりゆっくり!」と声をかけていく。なかなかこんなことは、私が先行していたらこんな余裕のあることはとてもじゃないが言えない。精神的に余裕がある証拠。さすが実力者だけのことはある。 ここから第2折り返しまでの時間を計ると35秒ほどだった。2倍してIさんとの差は約70秒。この2.5kmくらいで10秒ほど詰まったことになる。しかしながら仮にこのペースで、距離が縮まっていったとしても、残り5kmで20秒。70−20=50秒の差があり、これ以上の差を詰めるのは少々厳しく感じた。 そう思ったせいではないだろうが、2往復目に入ると足取りがやや重くなってきた。選手のトライアスロン射水大会(富山県)に比べれば気温が高く、走る条件が悪くなっているのは明らかで、ペースが少し鈍くなってきた。 2回目の給水を取ってしばらくすると、Iさんと三度目のすれ違い。こちらから声をかけるが、必死なせいか気がつかない。第二折り返しまでのタイムを計るものの、何と40秒かかっており、せっかく縮めたIさんとの差が再び開いてしまった。勝負の世界は何が起きるかわからないので、最後まで諦めてはいけないが、逆転することが厳しいことには間違いなかった。 結局Iさんには追いつけず、2時間22分48秒でゴール。Iさんが2時間21分28秒でゴールしているので、その差はちょうど80秒であり、最後にすれ違ってからは、その差が変わらなかったことになる。
ゴール付近にIさんがいたので、ゴール後しばらくお話しをさせていただいた。Iさんも私が追っているのを知っていて逃げていたそうだが、脚が動かないという。私は私でIさんを追っていたが同じく脚が動かない。確か歳も同じで競技歴も同じように長いので、同じように体がへたっているかもしれない。これからも体を壊さないようにして頑張りましょうと、エールを交換したのであった。次は負けませんよ!
本日の戦利品
|