甲種化学 受験記(Cさんの場合)
1 はじめに
 昨年、職場の先輩(ホームページ管理者)が「自分が講師になるから」と有志を集めて乙種機械の試験のための勉強会が開催されました。先輩のおかげで有志3人は、結構良い成績でめでたく乙種機械を合格することが出来ました。\(^o^)/
(詳しくは、Aさんの「乙機受験・私の場合」参照)
 今年は、昨年の様に先輩は親切に面倒を見てもらえないと宣言され(T_T)、受験仲間のAさんは他の職場へ転勤、しかも足の骨を折り6ヶ月程療養休暇を取り、Bさんも違う種類の試験(二冷)を受験すると言っていたので、泣く泣く一人で受験勉強に取り組むことになりました。
 個人的な問題ではありましたが、平成14年の年末にめでたく結婚できることが決定していました。さて、結婚式をいつにしようか?と現在の夫でもあるBさんと相談をしたものの、今後、結婚してからの主婦業やおそらく巡ってくるであろう出産、その後の育児で目まぐるしい生活を考えると、平成15年度に甲種化学を受験して合格する最後のチャンス?かと思い、さっさと春に結婚式を済ませることにしました。
 なぜ、甲種機械ではなくて甲種化学を受験することに決めたのかというと、大学が理学部の化学科出身で、多少は化学の知識が身に付いているかと思ったからです。
 5月に無事結婚式を済ませたものの、家の中の片づけ、慣れない主婦業、写真整理等々を行っているうちに、あっという間に7月になっていました。
 昨年乙種機械受験の時は、先生もいてしかも全てマークシート試験にもかかわらず6月から取り組んでいたのにと、ちょっぴり焦りなんかも感じたりしていました。7月からは夕食後の茶碗洗いを夫にやってもらう交渉も成立!(ちゃんと粗食ながら毎日3食は作ってます)めでたく7月から受験勉強に取り組むことが出来ました。
2 受験勉強記
 もともと、計画を立てて勉強するということがとっても苦手な私は、結果として、今回もきちんとした計画を全く立てずに、出来る時、気の向いた時に勉強するという気まぐれ勉強方法で今回も済ますこととなってしまいました。このことは、試験直後〜合格発表までの間にかなり後悔する原因となってしまったが、元々の性格だから仕方ない。
 この方法は、「まだ子供がいないから自分の時間を確実に確保出来るから可能なんだ〜」と職場の先輩に口酸っぱく言われながらも、まだ子供のいない私には子供が生まれてからの生活は全く想像できないので、実感が沸かないから仕方ない。と言い訳ばっかしていても仕方ないので、実際にどのように勉強したかを書き留めておきます。
(1)法令
 もともと仕事柄3科目(法令・保安管理技術・学識)の中では一番使用頻度が高く、基本的な所は頭に入っているので、あまり時間を割きませんでした。
 勉強の仕方としては、甲種・乙種・丙種の過去問を5年分位を2回り程解いた位でしょうか?多分、仕事で法令を扱っていなかったら、以下のような順序で勉強をすると思います。
@ 過去問分析を徹底的にする
 自分の受験する種類の問題に係わらず、何年の何番の問題が法規集のどこから出ているかを法規集にマークし、マークが沢山ついているところを徹底的に覚える。
 高圧ガスの試験は、危険物の試験と違い受験する人も少なく、本屋さんに行っても親切な参考書がないので、泣く泣く分厚い法規集を購入して勉強するのがベストだと思います。
A とりあえず試しに過去問を1回まわり解いてみる
 間違えたところは、チェックしておき、法規集をみて復習する。
B 細かい整理をするためにノートを作って頭を整理する
a) 各規則(一般則・液石則・コンビ則)の製造設備の技術上の基準を比較する
 一般則第6条・液石則第6条・コンビ則第5条の条文を比較して表を作り、それぞれの規則に係る基準や微妙な違いを整頓する。
b) ガスの種類によって係ってくる基準を整理する
 一般則・コンビ則では、ガスの種類が色々(毒性ガス・可燃性ガス・不活性ガス等々)出てきて、しかもガス種によって係る基準と係らない基準がある。この辺りは、結構ややこしいので整頓する。
C まあまあ、頭の中に法令内容が入ってきたら過去問を出来る限り沢山解く 

(2)保安管理技術
 今年度から、甲種化学は記述式からめでたく?択一式となったので、私としてもかなり気分的に楽になりました(昨年までのように記述式だったら、甲種機械を受験しようかとも考えていたので)しかし、今年度から択一式ということは、過去問分析も何をやったらいいのか?どんな問題が、どんな難易度で出題されるのかさっぱり分からない。とりあえず、乙種化学の過去問5年分を国家試験・検定試験を含めてテキスト「高圧ガス保安技術(改訂版)」のどの部分から出題されているかを1つ1つチェックしました。テキストを読んだだけでは理解しきれない箇所等は、自分なりに分かりやすくノートにまとめて頭の中に整頓出来るようにしました。
 択一式ということで、試験に必要な事柄を自分の頭の中にインプットすることまではしましたが、アウトプット出来るまで理解しきる勉強をしたかというと???という感じです。(択一式ということで勉強の仕方を甘んじてしまったということは、否めないですね)
 やはり、受験する身にとっては択一式というのはありがたい出題形式ですが、本来は仕事において高圧ガスの業務を行う上で資格を取得することを考えると、択一式が本当に良いのかどうかは分かりません。
 今年度の出題傾向としては、数問は甲種機械の問題と同じでした。来年度以降甲種化学を受験される予定の方は、甲種機械の過去問にも目を通しておくことをお勧めします。

(3)学識
 学識は、唯一の記述式ということもあって、やはり一番時間をかけて勉強しました。職場の先輩に平成3年からの国家試験・検定試験の過去問を借りてコピーさせて貰いました。(先輩曰く、過去問は5年分では足りない、10年分くらい必要だとのことでした) 実際には、単位が平成7年頃以前はSI単位ではなく、問題の出題形式も多少変化してきたこともあって、平成8年度〜平成15年度の問題を重点的に解きました。
 甲種化学の場合は、最近の出題では大きく分けて6題、そのうち1題は、物質の物性、用途、合成ルート等の説明、1題は、用語の説明が出題されています。残りの4題は主に計算を含む問題です。これらを区分けして勉強しました。

(a)物質の物性、用途、合成ルート等の説明
1.  入手した過去問を全て洗い出し、どの物質がどれくらいの頻度で、いつ頃どの試験 (国家試験・検定試験)に出題されているかを一覧表にしました。
2.  過去に出題された回数の多い物質から順番に、ノートに
  @ 物質名
  A 物質の性質
  B 用途
  C 合成ルート
  D C合成ルートにおけるプロセスの特徴
を整頓しました。実際に試験に出題されたときに満点を取ることが出来るような解答を作ることを想定しました。
 このノートを作成する際に主に利用したのは、「過去問の解答」と「高圧ガス保安技術(改訂版)」です。他の化学の参考書までは利用しませんでした。
3.  ノートには、大体25種類ぐらいの物質について整頓しました。
4.  最近の国家試験傾向としては、過去に出題頻度の多かったオーソドックスな物質は少なくなってきているような気がします。平成16年度も、水素については、過去13年位の間に4〜5回の出題がありましたが、ジメチルエーテル及び硝酸は1回あったかどうか位です。
 というわけで、あまり過去問にとらわれすぎるのは決して良くないかもしれませんが、テキストに載っている物質を全てマスターするのはかなりハードなので、私はこのような方法で勉強する物質をある程度絞ってしまいました。
5. ノートは8月末までに作成を終了し、朝晩の通勤電車の中でひたすら暗記をし、家では、過去問を解く時に実際に書いて覚えるようにしました。
  合成ルートは、まだ覚えられるものの、合成条件(温度・圧力・触媒等)は、なかなか覚えられない(TT)。暗記のとっても苦手な私は、早めに暗記作業を始めることとし、長期での記憶定着をするよう心がけました。

(b)用語の説明
 これも、(a)物質の物性、用途、合成ルート等の説明と同様な方法で勉強しました。
1.  入手した過去問を全て洗い出し、どの用語がどれくらいの頻度で、いつ頃どの試験(国家試験・検定試験)に出題されているかを一覧表にしました。
2.  過去に出題された回数の多い物質から順番に、ノートに整頓しました。実際に試験に出題されたときに満点を取ることが出来るような解答を作ることを想定しました。
 このノートを作成する際に主に利用したのは、「過去問の解答」と「高圧ガス保安技術(改訂版)」です。他の参考書までは利用しませんでした。
3.  ノートには、大体40語程度について整頓しました。
4.  最近の国家試験傾向としては、過去に出題頻度の多かったオーソドックスな用語に混じってあまりなじみのない用語が出題されつつあるように思います。平成16年度で出題された、超臨界流体については、検定試験で過去13年位の間に4回程(国家試験では出題無し)、TNT当量、フガシティーについては、用語の定義としての出題 はありませんでした。しかし、TNT当量、フガシティーについては、計算問題で出題されている例が過去に何回かありました。
 このようなことからも、用語の定義のみを独立させて勉強するのではなく、過去問を解く中で、計算問題の中でも、用語の意味を十分理解して説明しておけるようにしておく必要があります。当たり前の事なのですが、私は、受験勉強テクニックに走りすぎるあまり、本来の甲種化学を合格する目的(試験にただ合格するだけではなく、合格するために必要な高圧ガスに関する化学の知識を深める事)をすっ飛ばしていたため試験問題のTNT当量の説明が上手く出来ず、また、超臨界流体についても、検定試験のみの出題であり、国家試験では出題されたことが無いと言うことで勉強をないがしろにしてしまったため、後で非常に後悔する羽目になってしまいました。フガシティーについてもテキストを読んでも意味がさっぱり分からないと言うことで、勉強段階のうちから捨ててました。
5.  ノートは8月末までに作成を終了し、朝晩の通勤電車の中でひたすら暗記をし、家では、過去問を解く時に実際に書いて覚えるようにしました。

(c)計算問題
 もともと、化学科出身ということもあって、計算問題は比較的にすんなりと勉強することが出来ました。
1. 過去問の国家試験を平成15年度から平成8年度まで、その後検定試験を平成15年度から平成8年度まで丁寧に解答を作るよう心がけ解いていきました。
 本来、1日1年分といったように計画的に勉強を進めるべきなのでしょうが、平日は、勉強し出すと睡魔が襲いかかり、平日は5日かけて1〜2年分、週末に2〜3年分まとめて問題を解くようなサイクルでした。
2.  間違えた問題は、「過去問の解答」と「高圧ガス保安技術(改訂版)」を熟読して赤字で式や問題の解答過程を整頓してノートに書き写し、理解するよう努めました。
 元々、高校時代、数学・化学が好きな科目であったため、熱力学方程式、微分、積分等の解き方は頭の片隅に残っていましたが、「過去問の解答」と「高圧ガス保安技術(改訂版)」以外にあえて参考にした本といえば、
  ・大学入試「物理教室」(河合塾が出版している)・・・・熱力学の分野
  ・高校時代の微分・積分の教科書・・・・微分・積分の復習
  ・高校時代の基礎解析(今はこんな名前じゃあないな)の教科書・・・・log計算の復習
  ・高校時代の化学の教科書・・・・熱力学方程式、平衡定数等の復習
くらいです。
 ほとんど、大学の教科書というよりも高校時代の教科書を参考にしてました。
 高校時代、数学の先生が「解答を見てわかるのと実際に問題が解けるのとは違う」、 「ノートに書いた間違い解答は消さずに残しておくよう」口酸っぱく言っていたのを 思い出し、一度赤字で式や問題の解答過程を整頓してノートに書き写した後、解答を見ずに解答を作ることが出来るよう心がけました。
3.  試験までに、過去問は国家試験と検定含めて大体2.5巡位できたのかなあ?昨年の乙種機械の時に比べると、やはり記述式ということもあって、繰り返す回数は激減しましたし、誰にもノルマを課されない気まぐれ勉強だったため、もっと計画的に勉 強を行えば良かったなあと少々後悔しております。
4.  過去問の他、最近の出題傾向からいくと、テキスト(「高圧ガス保安技術(改訂版)」) の例題とよく似た問題が出題されていたので、これらも1〜2回周り解いておきました。

 昨年からの先輩の教え通り、スタートを早く、計画を立てて、過去問を繰り返し解くというのは、あまりきちんと守ることが出来ませんでしたが、以上の様な方法で7月〜試験の前日まで勉強をしました。
3 試験前日
 昨年、職場の先輩に教えられた通り、試験の前日に一度会場まで足を運んでみました。名古屋市内ということもあって、お昼ご飯を買う為のコンビニエンスストア位あるだろうと思い、地下鉄上前津駅から会場まで歩いていったところ、なんとコンビニがない!
 ということで、帰りは金山駅まで歩くことにしました。その道中でコンビニ1件発見!
 試験当日は、金山駅から会場まで歩くこととし、予定通りコンビニにて昼食を購入。
多分、先輩の教えが無かったら、下見なんてしなかったから試験当日はお昼ご飯抜きになっていただろう。ありがたや〜。
4 試験当日
 試験当日は、集合時間の9時より前に余裕を持って会場に着きました。甲種化学3科目受験の人は数が少ないため、1部屋のみ。会場に着いたとたん、顔を知っている協会の人等にお会いしてしまった(バレバレで恥ずかしい)。
 びっくりしたのは、受験申請をしたのにもかかわらず、実際に当日受験する人が6割程度しかいなかったことです。(受験料がもったいないよなあ〜)
 以下、受験した感想や反省点について述べます。
(1)法令
 手応えとしては、昨年受験した乙種機械より優しかった気がしました。が、個人的な感想でいうと、昨年の問題は、見た目に明らかに嫌らしそうな雰囲気を醸し出していたのに対し、今年の問題は、一見善人そうに見えて、微妙にひねっているなあ?という気がしましたが、こう思ったのは私だけでしょうか? 
 まあ、時間も十分にあり、何とか合格点は取れたのでは思いました。
(2)法令と保安管理技術との間の休憩
 今年の会場は、問題を解き終わって早めに退出しても、控え室というものが全くなく、外で寒さに震えながら、試験の時間が終わるまで待っていなくてはなりませんでした。(この会場はいまいちだった。控え室位作っておいて欲しいです。)
 法令の答え合せは、あまりする気もなく、次の保安管理技術に向けてテキストを開いて最終勉強を行っていると、今回甲種機械を受験したDさんがやってきて、法令の結果がとっても気になっているようでした。答え合せを求められたので、なくなく?一緒に答え合せをしてしまいました・・・・。まあ、お互い何とか合格点はクリアしていたかなあ?
(3)保安管理技術
 今年から択一式になったということで、難易度や出題箇所が全くわからなかったので、ある意味怖かったです。しかし、難易度的には、それほどでもなかった様な気がしました。(初年度だからか?)
 甲種機械と同じ問題も何問かありましたし、これは機械の範囲だよなあ?と私的には思われる問題も1〜2問出ていました。来年度以降甲種化学を受験される方は、甲種機械の過去問にも多少目を通しておくと良いかもしれません。
 時間的には余裕もあり、何とか合格点は取れたのでは思いました。
(4)学識
 これが、唯一の記述式。大学院の入試以来、久々の記述式の試験です。いきなり1問目から自分の苦手な飽和蒸気圧の問題が出てしまった。ガ〜ン(T_T)
 本来なら、手のつけようがない問題は、さっさと後回しにすべきなのですが、焦ってしまい、20分以上もあたふたして、結局中途半端なまま2問目に突入しました。(反省すべき点1)
 かなり、横着な勉強の仕方をしていたため、大体、全問を通して問題を解くのに何分位かかり、各問題に対してどれくらいの時間配分であればよいのかを全く事前調査しておきませんでした。そのため、最後になって時間がない!!!!とあせる羽目になってしまいました。(反省すべき点2)
 1問目以外の計算問題(3問)は、何とか解けたという手応えはありましたが、翌日の通勤電車の中で、ぼーっと試験問題を眺めていたところ、決定的な間違いをしてしまったことに自ら発見!「こんなこと間違えるかよ〜」みたいな所での失点で合格の可能性は、かなり薄くなってしまったような気がしました。試験では、実力以下の実力しか出ないこともあるということを改めて感じ、勉強の仕方、試験に対する心構えの軽さを痛感しました。(反省すべき点3)
 用語の説明・化学物質の説明問題も、過去問の分析及び合格するための勉強テクニックを重視しすぎたあまり、試験問題を見たとたんにガ〜ン(T_T)という感じでした。この2題についても、本来の甲種化学の受験をする意味、「試験にただ合格するだけではなく、合格するために必要な高圧ガスに関する化学の知識を深める事」をないがしろにして勉強したつけが、まさに出た!ということをつくづく実感しました。私の勉強方法が決定的にまずかったというダメージを与えてくれた問題達でした。(反省すべき点4)
(5)試験終了後
 試験終了後、甲種機械を受験したDさんと一緒に金山まで帰りました。お互いに「だめだ〜」なんてぼやきながら。私は、学識については、時間が足りなくて答えを書き写してくるということすら忘れていました。まあ、合格しそうな手応えがあまりなかったから答え合せをする気すら起こりませんでしたが・・・・。
5 おわりに
 試験が終わってからは、試験のことを思い出したくもなかったので(合格してそうな手応えが全くなかったので)解答が公表されても全く見もせず、ほっておきました。しかし、平成17年2月2日午前10時にKHKのホームページで合格者が発表されるのを知っていたので、だめもとでこそっと見てみたら、なんと合格出来ていました。
 一応合格はしたもののかなり低空飛行であったことは否めなく(点数が公表されないのが良かった?)、今回の勉強方法については、かなり反省点ばかりでした。
 来年は、時間的、気分的に余裕があれば他の試験に挑戦してみたいと思っています。もし、受験するとしたら今回の色々な反省点を改善し、実りのある勉強をするよう心がけようと思います。